夫のスマホを持ったわたしは買い物に出掛けた。

 

 

いったいいま何が私たち夫婦に起きているのか…

何が本当で何が嘘なのか…

答えが出ないことを頭の中で考え続ける。

 

 

 

そうやって買い物をしていたら、

夫から着信があった。

 

 

 

もしもし…

 

もしもし…

 

 

あのさ、パソコンみちゃったんだけど。あれ。なに?

 

 

なに?って見たら内容わかるでしょ

 

 

うん、、、復旧できるアプリとかなんとか書いてあるけど…

 

 

そうだよ

 

 

あのさ、あの、…お願い、お願いだからどうにかして

その作業止めてくれないかな

 

 

は?なんで??嫌だよ

 

 

…ごめん。お願いします。止めてほしい。いますぐ帰ってきてください。

話があるから。

全部ちゃんと話すから。

 

 

………。

それって……そういうこと?

 

 

…ごめん、とにかく会って話すから。

帰ってきて。

子どもたちは実家に預けるから。

二人で話そう。

 

 



この瞬間、わたしのなかで

浮気が決定した。

 

 

あぁ。終わった。

ぜんぶぜんぶ終わった。

わたし、何してるんだろ。

何がこの先にあるんだろ。

 

 

 

涙は出なかった。

もはや

他人事のように

感じていたのかも。

 

 

この時、確かわたしはレジに並んでいて、

電話切ったあとレジで精算した。

そこまでは覚えている。

でも、店を出てから

帰り道のことは一切覚えていない。

 

 

家に着いて、

子どもたちを乗せてすぐに出発して

実家に送り届けた。

 

 

 

車内は無言。

巻き込んでごめんね、と今なら思う。

その時は、親失格だけど

子どもを想う余裕もなかった。