こちらを見て最初はわからなくても

 

気づくだろうと・・・すこし思っていたのですが

私が誰かヤツはまったくわからないようでした。

 

 

白豚が最初に私の家に上がり込んだ日・・・

 

ヤツは、私が会社にゆくために家を出るのを

 

じっと見ていたはずなんですが・・・

 

(参考:待ち受けられていた

 

ヤツが思い出すのを待つのは無駄なようでした。

 

そうであるなら思い出してもらうだけです。

 


「奇遇ですね、こんなところで会うなんて

 

もしかしてお住まいこの近くなんですか?」


と出来るだけ、にこやかに語りかけました


私が誰か気付いた時に自分の家に白豚自らに

 

案内させるための布石のつもりでした
 

どうにか私の表情は言うことを聞いてくれたらしく

 

白豚は警戒をゆるめたのか
 

「ええ、まぁ・・・」

 

と曖昧な一言ですが返事を返してきました。

 

曖昧な言葉でしたが一応の言質は取れたので

さっさと思い出してもらおうと笑顔のまま言葉をつづけました


「最近、家の妻が非常にお世話になってるようで・・・」

 

・・・これでわかるだろうと思ったのですが・・・

 

予想に反して、ぱあっと表情を変え急に笑顔になった白豚は

 

「あっ!吉川様のご主人ですね

 

こちらこそお世話になっております

 

確か一度ご同席頂いてましたね」

 

・・・とにこやかに客対応口調で話し始めた・・・

 

・・・いや違うから・・・誰だよ吉川って?

 

そう思いながら自然とため息が口から出ていました。
 

私は、ため息と同時に作っていた笑顔を引っ込め

 

「ちがう!良く考えろ、俺は誰だ?」

 

今思うともう少し言い方があったように思いますが

 

出てきたのは上の言葉でした・・・

 

これで、ようやく白豚は私がなにかしらの

 

トラブルの種だとはわかったようですが

 

昨日、自宅にまで上がり込んだ浮気相手の夫だとは

 

これでもまだ、認識出来ていませんでした・・・

 

いい加減にばかばかしくなった私は再びため息をつくと

 

一言一言を区切るように、叩きつけるように

 

「昨日も、俺の、いない家に、ご訪問、頂いたんですよね」


そういいながら白豚の目を正面から睨みつけました