ホロコースト博物館
先週の土曜日、ワシントンDCにある米ホロコースト記念博物館 に行ってきた。
夏休み中ということもあってか、高校生の集団らしきものが目についた。
「11歳以下は常設展の入場不可」のはずなのだが、どう見ても6~7歳の子どもを
連れている親がいるから不思議・・・
普通の博物館に比べると、やはり活字の資料や説明文が多いのだが、
これだけ観客が多いと、展示資料の文章をじっくり読みながら回るのはむずかしい。
本や映画でホロコーストについての知識がいくらかある人であれば、それぞれの
資料の写真や見だしなどだけで、何に関する展示かがわかるので、展示資料の前
で動きの止まっている人たちの後からさっとのぞき込むだけで、ある程度かけ足
ででも回ることができようが、まったく知識のない人であれば、文章を読まないと
何を展示しているのかがわからないものも多い。
なので、この博物館に行こうという人は最低、ナチスやホロコーストについての
新書本程度の入門書は読んでから出かけられることをオススメしたい。
館内の展示は、エレベーターでまず4階に上がり、そこから順に階を降りていく
順路になっている。時代順に、1933(ナチス政権成立)~1939年まで暴力
(4階)、ユダヤ人問題の「最終解決」とナチスが呼んだ、ホロコーストのありさま
(1940~1944年、3階)、最終章(ナチスドイツの敗戦と連合軍による強制収容所
のサバイバーたちの解放、2階)という順番だ。
内容に関しては、言わずもがな。。。
一番下の階で、サバイバーたちの証言の映像が流されていたが、
もっとも印象に残った二つの話だけを紹介しておく。
(私の記憶だけをもとにしているので、細部は間違っているかも
しれないことをお断りしておく)
ある男性の証言。
同じ収容所に、神への祈りと感謝の言葉を欠かさない男がいた。
私はイライラして、そいつに言った。
「一体全体、こんな状況のなかで、神に何を感謝するっていうんだ?」
その男は答えた。
「少なくとも神は、私を殺人者(殺す側の人間)にはお造りにならなかった」
と。
ある女性の証言。
「よく私たちは、ドイツ人の見張りの目を盗んでは、いろんな作業をサボった。
機械を組み立てるときに、わざと穴を開けてやったりもした。
人間性も尊厳も奪われたあの状況の中で、作業をサボるということは、
私たちに何か自分でできることがある、という気持ちにさせてくれたの」
こういう体験そのものはもちろん体験した人にしか「わからない」のではあるが、
そこで語られている内容には誰にでも「わかる」もの、ある種普遍化できるものが
含まれていることもまたたしかである。
このことについては、いくつか考えていることがあるのだが、長くなりそうなので、
それはまた明日・・・・ということで。