「楽しまない」ことが、現状からの脱出に、目指すべき近道だと思ってきた。
遠足のお菓子を欲しくても、買わないこと。
友達と遊ぼうとしても、塾の宿題を優先すること。
女の子から告白されても誘われても、断る事。
でも脱出はできなかった。浪人もしたし、一流企業にも入れなかった。


そして「年収」が脱出への、目指すべき梯子だと思い込んだ。
自分の能力とは無関係に決まる目先の好条件に飛びついた。
でも脱出はできなかった。よき妻よき子供にはめぐりあえたが、
同時にそれは俺が徹底的な仕事人間になろうとする事に足かせになった。
重ねるべきキャリアも積めず、自信を持った言動もできなくなってしまった。


そして「自己理解と受容」が、目指すべき脱出への第一選択だと思い込んだ。
まったくうだつがあがらない自分の自信を取り戻すのはこれしかないと
時間ばかりかけて悩みぬいた。
でも脱出はできなかった。実行の伴わない思索にすぎず、残り時間を
著しく減らした。
この時間が必要ではあったが。


これからも脱出はできないだろう。
だが彫刻を削りだすように、
間違いを、思い込みを、勘違いを、空気読めないを、自己嫌悪を、
繰り返すのさ。シュッシュッと繰り返し削りだすのさ。
削るものに価値があるのか、削りだしたものに価値があるのか。

そいつがわかれば苦労はな~い♬