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1介護費用の負担額を減らせる
介護費用の自己負担額は、本人の収入または世帯の収入によって決められるケースがほとんどです。高額介護サービス費や高額介護・高額医療合算制度は、同一の世帯で発生した介護費用や医療費用を合算した制度であるため、世帯分離を行って親世帯の所得が下がれば、介護費用の減額が可能です。また、世帯収入をもとに介護費用の算出が行われる場合は、世帯分離によって世帯収入を減額でき、介護費用を減らすことにもつながります。自己負担割合が2割や3割の家庭では、世帯分離によって負担割合を減らせる可能性があります。
2介護費用の自己負担額の上限が下がる高額介護サービス費制度は、1カ月に使った介護費用が自己負担額の上限を超えたとき、超過分の払い戻しを受けられる制度です。自己負担額の上限は5段階に分かれています。世帯の所得が低ければ上限額も低額に設定されるため、世帯分離を行って世帯年収を下げることで自己負担額の上限を下げる効果が期待できます。
3国民健康保険料が安くなるご自身やご家族が国民健康保険に加入している場合、保険料が下がる可能性もあるでしょう。国民健康保険の負担額は、前年の所得をもとに計算されます。世帯分離を行って前年の世帯所得を下げられれば、その分負担額も軽減されます。ただし、世帯分離によってすべての世帯が負担額を減らせるわけでない点には注意が必要です。ひとつの世帯単位では負担額が下がっても、世帯分離した2世帯の合計ではむしろ保険料が上がってしまうケースもあります。世帯分離が有効かどうか、事前にシミュレーションするのがおすすめです。
4介護保険施設の費用を軽減できる介護保険施設を利用すると、居住費や食費なども含めてさまざまな出費が発生します。そして介護保険にある負担限度額認定制度を利用することで、そのような費用の減額が可能です。世帯分離を行うことで、この負担限度額認定制度を活用できる場合があります。負担限度額認定制度での利用者負担限度額は、所得に応じて決定されます。世帯分離によって世帯の所得が下がれば負担限度額の段階が下がり、月額の負担額が軽減される可能性があるでしょう。入居型以外の施設でもこの制度の対象となります。
5後期高齢者医療制度の費用を抑えられる75歳以上になると、後期高齢者医療制度を利用できます。また、特定の障害がある場合など、条件によっては65歳から利用可能です。後期高齢者医療制度は基本的に自己負担額が1割で、保険料を納付して利用します。この保険料も世帯の所得に応じて異なり、所得が低ければ保険料の負担額もそれに応じて下がります。そのため、世帯分離によって世帯の所得を抑えられた場合、負担額軽減につながる可能性があるでしょう。ご自身の世帯の総所得額を確認して、実際に負担額が減らせるかどうか照らし合わせる必要があります。
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1国民健康保険料が高くなる場合がある
国民健康保険に加入している場合、保険料を支払うのは世帯主です。世帯が同一であれば1人が支払いますが、世帯分離した場合それぞれの世帯主が保険料を支払わなければなりません。その際、世帯単位での支払額を減らせても、もともと同一であった世帯の支払額と合計すると、むしろ負担額が増えている場合もあります。世帯分離によって保険料負担を抑えられるかどうかは、世帯の構成や収入などによって異なります。事前に、世帯分離した場合の負担額を十分確認して、負担額を想定しておくことが大切です。
2扶養手当や家族手当が使えなくなる世帯によっては、ご両親を自らの勤務先で扶養に入れているケースもあるでしょう。扶養手当や家族手当を利用している場合、世帯分離を行うと対象の家族が扶養から外れてしまい、扶養手当や家族手当を受けられなくなるケースがあるので注意が必要です。例えば、扶養手当が毎月1万円支給されていた場合、扶養手当がなくなれば年間12万円の収入減となります。また扶養から外れなかった場合にも、世帯分離によって支給額が減る可能性もあります。世帯分離を検討する際には、まず健康保険組合をはじめとする、ご自身が所属している組合・団体に確認しましょう。
3健康保険組合を利用できない勤務先の健康保険組合で同居しているご両親などが扶養に入っている場合にも、世帯分離によってデメリットが生じる恐れがあります。健康保険組合のなかには、扶養に入る条件として同居を求めているケースがあります。世帯分離を行って扶養から外れてしまうと、外れた方はご自身で保険料を支払わなければなりません。ご家族を介護している場合、費用負担軽減のために、そのご家族を健康保険組合の扶養に入れておいたほうが良いケースも考えられます。
4手続きに時間がかかる世帯分離を行うためには、さまざまな手続きを行わなければなりません。役所で住民票などの必要書類を取得して、所定の書類に必要事項をすべて記入します。また、ご家族が高齢により手続きが難しい場合は、代わりに手続きを行うために委任状の用意も必要です。手続き完了までには時間がかかるうえに、手続きそのものも煩雑です。世帯分離を検討する際は、申請から実践までの時間も考慮しなければなりません。
世帯分離の本来の目的は、保険料や自己負担額の軽減ではありません。あくまで生計を別にすることで所得の少ないご家族の税負担を軽減することです。また、ご両親の所得が低く世帯分離をすると生活が困難であると判断された場合も、申し出が受理されないケースがあります。そのほかに、世帯分離を申請した場合は重要事項が変更されるため、後々その他書類の申請や手続きがスムーズに進まない場合があることも、想定しておきましょう。
世帯が異なると、住民票の交付や介護保険証・所得証明書などの書類を申請する際に、都度本人の委任状が必要になります。世帯分離後は元に戻すことも可能ですが、世帯合併の届出を市区町村役場の窓口に提出しなければなりません。また手続きに時間がかかるため、世帯分離の判断は慎重に行いましょう。
✽注意点
メリット、デメリットをよく理解されたうえで、申請される時に役所で気をつける点があります。
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