労働法は、経済的社会的弱者である労働者が人間らしい最低限度の生活を営むことを保障すると同時に、とくに使用者との関係で労働条件などについて契約の自由=労働者の自己決定権を実質的に保障することを目的としています。
この2つの目的=理念を基礎として労働法は数多くの制定法から成り立っていますが、それは大きくいって2つのグループに分けられます。
1つは、まだ仕事についていない労働者に対しての雇用の機会(労働権)を保障することを主な目的とした労働市場法といわれるグループです。
それに対して、2つ目は、労働者が仕事についている場合に、主に労働条件の決定をめぐって使用者と労働者との関係を規律する労働関係法といわれるグループです。
労働者は仕事がなければ生活できないことはいうまでもありません。
そこで、まず労働法は、労働者に対して仕事につく機会をさまざまな形で保障することとしました。
こうした雇用機会の保障・拡充を主な政策目的とする種々の法律を労働市場法(または雇用保障法)と総称することができます。
この労働市場法全体の基本目的と枠組みを定めているのが雇用対策法です。
この法律にもとづき、雇用・労働力政策の基本方針や雇用対策基本計画が策定されるとともに、労働市場法を構成するさまざまな法律に共通する基本事項が通則として規定されています。