4月30日。

仏壇にお寿司が御供えしてあった
母がお線香をあげ、手を合わせていた

そうか

この日は父の命日だった

その後母とお墓へ行った
樹齢400年以上の巨大な楠を見上げる
空が見えなかった

お寺の脇を抜け我が家のお墓にたどり着く

私が小学生になりたての頃、ここで初めて父の涙を見た
父は一年家を空けていた
空けていた間に父は父親を亡くしたのだ
孝行をしたい時には親はなし、とはよく言ったものだ
母と私とお墓の前で父は声を出して泣いた

そんな父も、もう居ない
線香の匂いが遠く感じた



また楠を見上げた
新緑がなんとも涼しげだった