彼女・・・・女が越してきて約一年。

小さなことだけど夫にはいくつもの変化があった。

思えばずっとその変化に不安を感じ怯えていた。





次男の大学受験が終る季節に

夫が誰かとの不倫を終えたならそれでよかった。





なのに、疑惑はますます色濃く膨張し破裂寸前だ。





話をしたところで夫は証拠がなければ絶対に認めない。

嘘をつくことに抵抗のない男。

すかしたり、威嚇したり、なだめたり、取引したり

私をコントロールしながら

夫はあらゆる手で女との関係を否定してくるだろう。





私にはどうしても証拠が必要だった。

社員(部下)ではなく夫の女だという証明。

会社に私宅に自然と居座る女を撃退させる武器であり

なによりも、戦いへ挑む勇気の源だった。





調査は翌週(木・金)も仕込んだ。

同じホテルに宿泊予定。

継続した関係を証明するためだ。

もう一度獲ってやる。

腐った関係を証明してやる・・・。





ヒリヒリとするような家の空気は夫の羽根を折る。

私の機嫌を窺い、長男を心配するそぶりを見せる。





しかし、泊りも仕事の大義があれば大手を振って飛ぶだろう。





次の木曜も金曜も夫と女は前回と同じだった。

女を派遣先に送り、金曜の夜は二人、居酒屋で酒を飲む。

0時過ぎにホテルに戻り、同じ部屋へ吸い込まれる。





そして翌、土曜日、夫の運転する車で一緒に帰ってくる。





ずっと二人は私を正面で見ながら

私の背後に安堵し優位を楽しみ、笑ってたんだろう。





ヒドイな・・・・悲しいなぁ~

苦しいよ・・・・




ギャーッ!!って叫びたい。





狂ってしまいたいよ・・・




あぁ、崩れないように・・・・

まだ、崩れないように





家で待つ私は能面のような顔で

ずっとずっと・・・・・ヒリヒリしてたと思う。