M・W・クレイヴン「グレイラットの殺人(Dead Ground)」(東野さやか訳)を読みました
ワシントン・ポーのシリーズ4作目です
第1作と第2作が非常に面白くて、第3作はそれらには及ばないものの十分のデキでした(第3作については、犯人とその狙いを「ああ、これはあれだね」とすぐにわかってしまった自分の人間性に問題があるのかもしれませんが)
今回も最高クラスの面白さでした
このシリーズは、冒頭で読者をグイッと引き込むのが上手なのですが、今回も歴代ボンドのマスクを被った5人の金庫破りが登場する冒頭のシーンに惹きつけられました
そして、世界的な経済会議の警備との関連で、MI5からある殺人事件の捜査を依頼されたポー
MI5だけでなく、アメリカから先乗りしてきたFBI捜査官も加わって、ゴージャスなメンバーと強力な情報獲得手段が得られます
それでも、やはり最高に頼りになるのは相棒の天才ティリー
ポーとティリーのキャラクターがますます深化を遂げていて、作中のキャラクターが作者の思惑と関係なく勝手に動く状態になっています
犯人の意外性にはすっかり騙されましたし、そこからの二転三転は本当に見事
709ページもあるのに、ページを繰る手が止まらずに、あっという間に読み終えてしまいました
各章を短くして、テンポよく読めるようにする工夫も効いていますね
昨日取り上げた作品での苦行も効果があったのかもしれません・・・
ポーが行政から転居を迫られるエピソードや、ポーの実の父を追いかけるエピソードもしっかりと続いていました
特に、今回は前者についてMI5の怖さを知らしめるための道具として、とてもうまく利用されていました
イギリスでは、すでにシリーズ第5作が発行されているとのことですから、この先も楽しみです
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