blog句会には参加しないと決めていた私でしたが、今月急遽参加致しました。

理由は、私にもはっきりしません。とにかく胃腸の調子が悪く、その不安を忘れるためには句会に参加してみるのもいいのではないか、と軽く思ってしまったのです。

でも、困ったことには、私は4月の後半から5月の半ばまで、とにかく胃腸の調子が悪くて、どこにも出かけられませんでした。いったい何を俳句にしたらいいかが問題となったのです。

けっきょく今回は、物と心の取り合せで、とにかく一句を拵えてみようと考えました。

最初に取り組んだのが漢字席題、つまり漢字一字を使って句を作る課題でここで何とか1点だけでも点数を取ろうというつもりでした。

「辺・会・傾・打・弾・消」

この六文字のうち「」の字を選んで作ったのが次の句です。

鉄線花会釈の人の名を知らず  森器

これは「鉄線花」が物で、「会釈の人の名を知らず」が心です。近所の道路で私に会釈をした人がいて、後でいったいあれは誰だったのだろう、という誰でもよくある感情です。

問題は、上五の季語ですが、花言葉に「甘い束縛」の意味もある「鉄線花」を選びました。鉄線はものに巻き突く性質があるためです。なので、この句の上五に置くのに相応しい季語と考えました。

3点を頂きました。

さて、問題は句型課題です、今回は、「をり」「なり」「たり」を使って句を作るという課題です。

この句型課題、馴染みのない方が多いと思いますが、結構難しいのです。

私が作った句は次の二句。

夏帽子都市の峡雨に濡れてをり  森器

更衣人の木蔭を探すなり


どちらも、景が細く駄句そのものです。「夏帽子」の句はどうにか句の体裁はなしていますが、「結局ビルの谷間ということでしょう」と言われたら、何も言えません。でも、言葉の響きには注意を払いました。2点を頂きました。

問題は、0点だった「更衣(ころもがへ)」の句です。これはどうにもならない句でした。

「更衣」の季語選択もなっていません。これでは、物と心の取り合せでなくて、心と心の取り合せのようになっています。

白シャツや人の木蔭を探すなり

せめてこの位にしておくべきでした。それでも「人の木蔭」に引っかかるでしょうが。

私はこの句型課題で「たり」が出されたときは、なるべく「たり」は使わないで作りたいと思っています。

 

「たり」には断定の「たり」と完了の「たり」とがあって、動詞の連用形に繋がる「たり」は、完了です。

この完了の「たり」は「てあり」が短くなったもので、英語で言えば現在完了形です。その第一義的意味は、「存続」です。

いさらゐの群蝶黒に徹したり  円路

今回の句型課題の中で特に強く印象に残った句のひとつです。この円路さんの「たり」の使い方はお手本のような使い方です。作者がじっと群蝶を見ているのが分かります。これは見事だと思いました。

私は短歌も作っているので、この完了の「たり」の微妙な感じを大切にしています。そのためか、なかなか使いこなせません。

以上が、今回のblog句会における私の愚痴(?)でした。

結果等についてはこちらをご覧ください。
 

最後になりましたが、お忙しいなか句会を開催して下さった悠人さんに改めて感謝申し上げるとともに、参加者の皆様にもお礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。