寒雲にゆるりとうごく消防車  森器

凍雲の花売場にて平伏す

寒中のグリルに煙失語せり

顳顬に触れて眠りぬ寒の内

寒き夜やノートにふえし赤き線



離れむとすれば近づく猫らゐて闇夜に無為に鳴き交はしたり

難問を一つ抱へてあかときの塩鯖焼けば煙の青し

そそくさと冬の舞茸さきつつも頭を振りぬ けふ頭痛の日


*2月2日は、頭痛の日でした。


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荒海や佐渡に横たふ天の川  芭蕉


昨日、ある方のコメント欄にコメントを寄せたとき、この句の「横たふ」の文法を間違えてしまいました。

どうも私はこの句の「横たふ」という動詞が下二段活用の動詞と思いがちで、以前も間違えたことがあるのです。またそのことを忘れて、同じ過ちをしてしまいました。

正確に言うと、「横たふ」を《横にする》という意味の他動詞として用いるときはハ行下二段活用をするが、《横になる》という自動詞として用いるときはハ行四段活用をするということです。

つまり、

他動詞・ハ行下二段「横たふ」
よこたへ・よこたへ・よこたふ・よこたふる・よこたふれ・よこたへよ

自動詞・ハ行四段「横たふ」
よこたは・よこたへ・よこたふ・よこたふ・よこたへ・よこたへ

と活用します。赤字の連体形の「よこたふ」が上の芭蕉の句の「横たふ」で、私はこれを青字の下二段の終止形と勘違いしやすいのです。

ところで、私の古語辞典には次のような注がつけられています。

◆「横たふ」の自動詞形は「横たはる」であるが、江戸時代の俳句・俳文や漢文訓読では「横たはる」の間延びした語感を避けて「横たふ」の形にして用いたようで、他にも用例がある。

そうなんです。ついこのことを忘れてしまうのです。文法の揺らぎとでも言ったらいいのでしょうか? 文法を崩してまでも言葉の調べの方を優先しているのでしょうか? いや、結局、文法は後からつけるものに過ぎないということなのでしょうか? とにかくちょっと不思議です。

上記のことは、以前から他のブロガーの方々も指摘されていて、それでも私はうっかりミスをしてしまいました。今日は、二度とそんなミスをしないぞ、というつもりの反省文を書かせていただきました。


拙作、拙文をお読みくださり
ありがとうございました。