「家に帰るには落ち着いてなければならない」

 

そんなことは彼にもわかっていたようだった

 

 

その後も、同じ日々が続いた

 

彼は、何を言っても壁を壊さなかった

 

壊すどころか、逆にもっと高い壁を作っているようにも思えた

 

 

病院関係の人はみんな敵というような不満が増えてきた

 

ただ、唯一の救いは担当医に対しては、敵視する態度はなかった

 

とても親切な優しい女医さんだったから

 

上から押さえつけるような話し方もなかっったし

 

彼の話をとにかくよく聞いてくれる印象だった

 

 

彼は家に帰るためにいい子を装った