2021年2月6日。
楓の異変に気付いたのは、一緒に暮らしているうさぎだった。
やたら、かえを労わるように寄り添うので不審に思って抱き抱えたらおかしい。
今日は土曜日。
それも18時。
無理だと思いながらも、ひたすら動物病院に電話した。
懇願すると観てくれる病院が見付かった。
少し遠いが、キャリーバッグに入れたかえはいつもと変わっていなかった。
レントゲンの結果、腹水だと判明。
右後ろ足の腫瘍が圧迫していたようだ。
前に変だと気付いた時に手術していればこうまで酷くならなかったと思うと動悸がした。
カテーテルで吐き出す治療法になった。
何かあった時、連絡先を書いた。
元気だったが、麻酔をかけられたかえを見て不安だった。
勝手に0時までに連絡が無かったら、治療が成功したと勝手に思っていた。
23時34分、着信音が響いた。
一度は保ち直したらしいが、ダメだったと獣医は言った。
遺体はどうしますか?と聞かれたので、迷わず「今から行きます」と即答。
どんな状態でも、早く会いたかった。
穏やかな顔で眠っていた。
綺麗な毛並みはそのままで、ただ身体が冷たくなっていた。
翌日が日曜日だったので、1週間安置しておいては腐敗が心配だと言うので、葬儀屋に電話。
14時から火葬になった。
亡くなって1日も経たないまま、かえは骨になった。
かえの骨は綺麗だった。
まだ生きていられるくらいに。
そして、焼いた跡に緑色の液体が付着していた。
死神の跡。
死の根源の腫瘍の跡だと分かった。
小さな骨壷に箸で拾って入れていった。
記憶が無い。
最期に喉仏を入れたのは覚えている。