オッシュ    何だかゴチャゴチャして、出来事の順番が分かんなくなってるけど、マッシュを最初に精神科医につなげた時は、オッシュは精神科の治療はもう「卒業」してたはずだ。

 

マッシュ   そうだね。もう、ふつうに働けるようになってたからね。

 

オッシュ   だけど、オッシュのウツは、そのクリニックで治ったんじゃない。いくら薬を飲んでも、一向によくならないどころか、もう全身がむくんで、手指の先もしびれてきた。

 

それでも仕事を続けてたんだけど、親戚がそれはおかしい、何か他に病気があるに違いないと言って、いわゆる「セカンド・オピニオン」をもらえって、大学病院につなげてくれたんだ。

 

それでもどの科の検査でも異状が見つからなかった。それで最後に念のため、ということで精神科に回されたのさ。

 

そしたら、「試しに抗ウツ剤を飲んでみて下さい。もし利いたらウツ病かも知れません」って言うんだね。

 

おい、おい、ウツ病の薬、飲んで利いたらウツ病ですって、どういうこっちゃ!? (笑)って思ったけど、実際、処方してもらった薬を飲んだら、ちょっと症状が軽くなった。

 

結局、診断は「仮面ウツ病」。ウツが、ぜんぶ身体の症状として出るタイプだね。それで抗ウツ剤を飲んで身体は少し楽になった分、今度は気分のほうが本格的にウツになった。なんか、不思議な体験だったな。

 

マッシュ    たしか、オッシュも最初はマッシュとおなじ「心因反応-抑ウツ性」っていう診断だったよね。ということは、オッシュのも誤診だったわけだ。

 

オッシュ    そういうことだ。

 

結局、そのクリニックには1年ちょっとしか通院しなかったけどね。それでもマッシュをそこに連れて行ったのは、万一、入院しなきゃならない状態になった時には、そのクリニックから有力病院に紹介して貰えるからだった。

 

まぁ、結果としてその通りになっちゃったわけだけど。

 

だけどね、神さまじゃないから、いくら専門家だってミスはするだろうよ。その意味じゃ、運がなかったということでしかないんだけど、診断とか処方以外にも、精神科医としてちょっと疑問に思うこともあってさ。

 

マッシュ    どんな?

 

オッシュ    前回、あの頃は、オッシュにとって最悪な時期だったって言ったよね。仕事も最悪だったけど、疲れて家に帰れば、オッカアは病気で寝てるだろ。

 

それだけじゃない、隣に城壁みたいな巨大マンションが建つってんで、マンションの管理組合が対策委員会を立ち上げてさ、その委員長もやってた。

 

それで目をつけられたんだね。最後は、暴力団が出て来て、オッシュが狙われる羽目に陥った。もう、地獄さね。

 

それで、通院の時に、かくかくしかじかって、そのクリニックの医者に訴えたら、「オレだってマンション紛争やって暴力団が出て来たことがあった。そんなことでビクビクするんじゃねぇ」みたいなこと言ったんで、オッシュは驚いたね。

 

ウツ病に「頑張れ」はタブーだってことは常識になってるけど、ありゃ、何を言いたかったのかね。「オレみたいに堂々としてろ」と、お手本でも示したかったのかね。

 

精神科の医者って、いくら腕が良くても、患者との相性ってあるよね。腕が良くても、相性が悪かったらうまくいかないし、おなじ医者でも、他の患者とはうまくいくっていうこともあるし。

 

だけど、「ビクビクするんじゃねぇ」っていう台詞を吐くのは、「相性」以前の問題だと思うね。

 

それで、大学病院の診断が下った時点で、さっさとあの医者に見切りをつけたってわけさ。

 

マッシュ    ふぅん、そうだったんだ。その頃、マッシュは、まだ師匠の内弟子で、めいっぱいやってた頃だったから、オッシュがそういう状態だったってことは知らなかったよ。

 

オッシュ    まだほかにもあるけど、思い出すと腹立つから、別の機会にするよ。

 

ま、精神科医っていったって、いろいろな方がおられますねってことだ(笑)。