![]() | 無私の日本人 (文春文庫) 637円 Amazon |
無私の日本人、3人目は大田垣連月さんです。
とても美しい方だったそうです。
わけあって、養女に出されて育ったわけですが、育ててくれた養父さんの『武家を再興したい』という思いをうけて、結婚をしたり、子供を産んだり、再婚をしたり、また子供を産んだりしますが、どうも家族には恵まれませんでした。
そんななか上田秋成に手習いうけて、歌を詠み始めます。
生活のために鋳物を作っては歌を書いて売ります。こちらはとても評判になり、贋作も出始めるのですが、なんと蓮月さんは、「私ようなものが始めたもので、人々が暮らせるようになるのなら」と贋作にまで、歌を書いてあげるのです。
歌集を出そうという話も断ります。
さらには、家に入った強盗に食事までふるまいます。
とにかく「自他平等の境地を悟る修行」だと、本当に欲なく暮らす方でした。
辞世の句は
願わくは のちの蓮の花の上に 曇らぬ月をみるもよしがな
です。
来世だけは、曇らぬ心の月をもちたいという願いが込められている歌です。
この本を書かれた磯田氏は、「今東アジアを席巻するのは、自他を峻別し、他人を競争する社会の在り方である。大陸にはこれがあっていたのかもしれない。・・・〈中略〉この国には、それとはもっと違った深い哲学がある。しかも、無明の普通の江戸人に、その哲学がやどっていた。それがこの国に数々の奇跡を起こした。」とおっしゃいます。
現代は江戸時代と違って、船や飛行機で大陸からすぐにでも人がやってこれるわけですから、この深い日本人の哲学を守るために考えなければならないことは山積みですが、日本人であることの誇りは持ち続けたいですね。
