「今年は例年以上に降水量が多いらしいですよ」
「そうなんだ。そんな感じしないね」
真っ青な空が広がる6月の終わり。
快晴をうらめしく見ながら室内で業務を進める。
ニュースでは各所で起こる水害を報じている。
私の暮らす町では一度台風が来て、
その後は翌日になれば忘れる程度の雨しか降っていない。
夏が近づいている。
雲の隙間から除く空の色や、
お昼時の暑さ、
夕方の太陽のオレンジ、
少しずつ夏が顔を出してきている。
またひとり、大切な人が遠くに行った。
気が付いたらそこにいて、いつの間にか去っていった。
残ったほうは、ただ寂しい。
わたしはすぐに人を好きになり、
その人とだけ遊び、一緒にいすぎて飽きてしまう。
ロスタイムに入った関係を断ち切るのが下手で、
いつもぐだぐだになって最もつまらない別れ方をする。
またかと思っていたら、そうなる前に遠くへ行った。
なにもかもは川のように流れていく。
出会いも別れも後から考えれば流れているだけだった。
せきとめようとしても隙間からこぼれていき、
半分以上逃して、諦めるしかないのかと気づく。
梅雨前線が暖気と寒気を伴って心を乱す。
暖かく湿った空気と冷たく乾いた空気がぶつかっている。
朝は寒くて昼は暑くて、何を着たらいいのかわからない。
どれをかぶって寝たらいいのかわからない。
どこを見てもどこに行ってもしっくりこない。
これまで通り、別れが次の出会いを運んでくるだろう。
今は流れていくのを待つしかないだろう。
指の隙間からこぼれていくなにもかもをじっと見つめて。
「来週から暑くなるらしいですよ」
「そうなんだ、もう夏だね」
手を止めて、窓の向こうを見た。
さよならだ。