あのときつきあっていたら、うちらはどうなっていたんだろう。
今、何かが変わっているのかな。
今、何かが動いているのかな。
こどもじみた質問に、快く応えてくれた人。
あのときつきあっていたら、うちらはどうなっていたんだろう。
3年ぶりのあなたは大人になっていた。
仕事でいきづまっている私を笑ってくれた。
手相を見せたら手のひらをそっと触ってくれた。
大丈夫?大丈夫?と気遣ってくれた。
改札まで送ってくれた。
3年ぶりのあなたは紳士になっていた。
もう8年も前になる。
まだ桜が咲かない、雪が残る日。
どんどん好きになって取り返しがつかなくなった恋。
一度だけ二人きりになった図書館の前。
あなたの友だちは私を気に入って、あなたは私のともだちを好いていた。
話せるなら恋の相談でもよかった。
あのころの私がいとおしい。
「私、大人になったでしょ」
「なったよーそりゃなったよ。声が変わった」
声かい。
本当はきれいになったでしょって聞きたかった。
そして驚くほどきれいになったって言われたかった。
叶わぬ恋に打ちひしがれた高校生の自分を抱きしめて、
「少しあとで、お互いにぐんと素敵になって再会できるよ」と教えたい。
「あのときつきあっていたら、本当の恋をしたかもしれない」
嘘か誠かわからない大人の言葉。
けれど、それを聞いて嬉しくなったのも事実。
真っ直ぐに散った恋が、桜の花びらとなって漂い続ける。
