高級スパの様な待合室で待っていると、他にも2人、私よりもかなり歳上であろうおば様達が同じふかふかローブを着て来た。
なんとなく、2人共こちらをジロジロと見ているような.......。気のせいだろう。
あ〜このローブといい、壁の滝の流れる音といい、ここが本当のスパだったらいいのになぁ〜。
バイオプシーって細胞取るんだから注射とかなのかな〜。同じ注射だったら、コラーゲン注射とかだったらいいのになぁ〜。などと夢見ていながらトイレに行った。トイレはいたって普通の病院のトイレだった、もちろんだけど。
しばらく待っていると、ビックリするくらいにナイスバディーな、ティファニーという若い黒人のお姉さんが来て私の名前を呼んだ。爪も完璧にピカピカ長い。
昔はもうちょっとあった、なんてマンモの台に言い訳してた自分のチッパイが、オッパイという神聖な存在ではなく、ただの胸板、だということに気付かされる。 彼女のモノが、オッパイと呼ぶに相応しいのだろう。感慨深い....。
「お待たせしました。これからバイオプシーするんですよね? 一度こちらに来て説明させてもらいますね。」 と、連れて行かれたのはコンピューター1個だけある個室のオフィス。
「ラッキーね、バイオプシーは普通予約を取って1ー2週間かかるんですよ。」と言う。
「よかったです!子供いてなかなか病院に何回も来るの大変なので。」と答えた。
「それはよかったわ! そうよね、子供連れてこれないから大変よね。」と、ティファニーがコンピューターを立ち上げてる間、笑いながらたわいもない事を少し話した。
次に彼女はバイオプシーについて説明した。
真剣な表情でこう言った。
「あなたのシコリはsuspicious (疑わしい)なの。もっと検査が必要で、ニードルバイオプシーをお勧めします。」
ニードルバイオプシー、日本語では針生検。
マンモや超音波の画像検査で癌と疑わしいと判断された場合、もっと詳しく癌細胞があるかどうか調べる為に細胞診か組織診(針生検)のどちらかを行い、その結果と画像検査の結果を合わせて癌の確定診断をする。
針生検はバネのついた太い針を、癌の疑いがある所に超音波を使い位置を確認しながら刺し細胞を取る。
癌細胞があるかどうかの他に癌の悪性度やホルモン感受性のタイプも分かる。軽いが手術の部類に入るので、局部麻酔をして担当医師が行う。
ハッキリとは言わないけど、そこまでの検査をしないといけないなんて、もう絶対癌じゃん! と、ツッコミたいところだけど、ここは医療関係者の方々の優しさ(?)としてうけとる。
これで癌じゃないって方がビックリするわ。
だいたい初めから癌だろうと思って来てるし、今日全ての検査を終わらせたいので、即答で「あ、やります。」と言った。お姉さんは私が即答だったのが良かったのか顔が柔み、「オッケー!じゃあこの書類にサインしてね。」とにこやかに言った。
「面倒で悪いんだけど、今日はあなた超音波とマンモだけの予定だったでしょ? バイオプシーをやるにはこの書類をデータに入れてからやらなくてはいけないくて、悪いけど一度外に出て、また受付を通って戻って来てもらえる? 」
え〜ローブで受付まで出るの?! 受付には男性もいんじゃん! とも一瞬思ったけど、ふかふかローブは大きくて、別に何が見えるわけではない。ま、いっか。
「はい、大丈夫です。」と答えると、
「ありがとうございます。ではこれからコンピューターに入力を.....」
と言ったまま、あれ?あれ?を繰り返し、
「コンピューターがクラッシュしたわー! もう! ごめんなさい、ちょっと待って。」
と、他に電話したり、試行錯誤でどうにか再起動させようと頑張っている。
「あーもうバイオプシーの時間になっちゃうわね...。もうちょっとで再起動して打ち込めるから、悪いけど先に受付に戻ってくれる? 入力すれば受付のコンピューターにもすぐ出るはずだから。ゆっくり、ゆっっくり行ってね!」 焦りながら言ってきたので、
「わかりました! ゆっっくり行きます! ちょうどお腹も空いてるから、どうせ動くのゆっくりなんで。」
と言い返したら、
「じゃあちょうどエネルギー無くてよかったわ!笑」
と笑いながら受付までの出方を教えてくれた。
言われた通りにもたもたしながら朝一度入った受付へ戻る。そこにはまだあのハイテンションの白人のおばちゃんがいた。
「あら?!何?戻ってきたの?!」
ローブのままの私を見てとても不思議そうに言った。
「バイオプシーする事になったんですけど、もう一度受付通ってって言われて。ティファニーさんがコンピューターに入力されてるはずなんですけど。」
と言ったが、おばちゃんはまだ「?」状態だ。
「ティファニーね? ちょっと電話してみるわ。」
と電話をかけようとしたら、ティファニーからちょうど電話がかかってきた。
「受付です。あら、今電話しようと思ってたのよ!今戻ってきた子が、え? あ、そうそう。今いるわよ。はいはい。はい。オッケー了解!」
電話をきり、おばちゃんは
「あなた達バッチリ!ナイスタイミングね! 」
と褒めて(?)くれた。
全く知らない人とスムーズに連携プレイが出来て私もちょっと嬉しくなった。
さっさと処理してくれ、ちょっと待ってまた中に戻った。
さぁバイオプシーってどんな感じなんだ?