次は、初めてのマンモグラフィ!
噂で聞くところによると、めっちゃ痛いらしい....。
ふかふかのローブを貰えないまま、待合室というか更衣室で待っていると、私の順番は意外にも早く回ってきた。
中に入ると、これまた物凄い陽気なチャイニーズ系アメリカ人のおばちゃん技師が、「How are you?!」と勢いよく聞いてきた。
ここの病棟は乳癌専門だからか、たまたまか、陽気なおばちゃんが揃っていて素晴らしい。
マンモグラフィ楽しみ!って人はこの世のどこにもいないだろう。だって、オッパイをパニーニみたいにぺったんこに挟むのよ? 丸い物を平らにするのよ?
でもこんな陽気でフレンドリーなおばちゃん達と世間話をしながら検査を終えられれば、なんて良い気晴らしだろうか。
もしおばちゃん達が重い状況を軽くする為に明るく振舞ってくれて居るなら、人間として尊敬するな。
「さぁ、こっちに来て!マンモやるの初めて?! 若そうだもんね〜。え?いくつ? 38?! あら!そんな歳に見えないわね! アジア人特有の童顔ね! 良かったわね〜私達アジア人で!得したわね〜アッハハハ!」
最初からデカイ声で、ぶっ飛びのハイテンションだ。面白すぎる。
「この機械にね、こうね、覆い被さる感じで、でも、こう、顎は上げて、違う腰はこっち、あ、腕はもっとこっちで....はい!挟むわよ〜痛いわよ〜!ごめんね〜! ...あれ? うーん、ちゃんと挟めないわね〜もっとこうで、こう!!うーん、ちょっと台の角度変えて....こう。そう右肩下げて、左腕はもっと機械覆う! うーーーん。」
話しながらグイグイ身体の色々な部分を動かせまくられて、ガウンも中途半端に落ちて、ガニ股で斜めに傾いきながら、機械にのめり込んでいる自分の後ろ姿は、誰かに激写してもらいたいくらい滑稽なはずだ。
すいませんね〜、肉がなくて。
どうもやっぱり私のチッパイに苦戦して居るようなおばちゃん。突然何か思いついたようだ。
「あぁ!! そうよ!ちょっと待ってね! あなた、これだからダメだったのよ〜。」
マンモのオッパイを挟む台は透明な正方形の板に目盛りが25個位付いていた。
おばちゃんはせっせとそれを取り外し、今度は目盛りが5個位しか付いていない、長方形の板をはめだした。
..........なるほど。私のチッパイは、アメリカサイズのマンモ台では大き過ぎた、って事か....。
アメリカサイズがあるのかどうかは知らないけど、普通の人、確実に前の人のサイズでは無いって事だ。
.....いや、いいんだけど! いいんだけどさ! 大きさではなく感度だって言うし! 私だって子供産む前は、もうちょっと、ちょっとだけあったしね!
訳わからないが、自分と、マンモ台の板に頭の中で言い訳していた。
その板にしたら、おばちゃんシックリきたみたいで、思いっきり私の(昔はもうちょっとあった)チッパイを挟み、小走りで薄いガラスの後ろに行き、コンピューターを操作した。
「ごめんね〜!痛いね〜!すぐ終わるよ〜!動かないで! はーい、そのままー! はーーーい!はい!終わりー!」
そしてまた角度を変え、ごめんね〜!と言いながら撮って、を数回ずつ、左胸と右胸にした。
一生懸命なおばちゃんに悪くて、「すいません、小さくて...。」と言ったら、「もっと無い人のも撮れるから大丈夫よ!」と気休めかもしれないが言ってくれた。
「しかしあなたも密度(乳腺の)が高いわね〜。」
「密度、ですか?」
「そう。密度が高いとよく見れないのよ。アジア人は多いのよね〜。あなた凄い密度!でもちゃんと撮れたと思うから大丈夫よ!」
日本では “高密度乳房” と言うらしい。
マンモグラフィーでは乳腺は白く写り、脂肪は黒く写る。腫瘍やシコリも白く写るので、乳腺の密度が高いと見えにくいのだそうだ。日本人女性の5割から8割が高密度だそうで、マンモグラフィーだけでは見つける事が難しい場合は超音波も使って検査をする。高密度乳房の場合、超音波の方が腫瘍が見つかりやすいらしい。 私の周りでマンモを受けた人も高密度だと言われたという人が多かった。
「この後超音波?あ、もうやったの? じゃあちょっと待ってね。この後どうするか聞いてくるから。また更衣室で待ってて!」と言って小走りでどこかへ行ってしまった。
まだ何か検査すんのかな。
じゃあ絶対ふかふかローブ欲しいな...。
やっぱりシコリ癌かなぁ〜だよなぁ〜。
違ったら超音波であんなにカチカチ測らないよな〜。
ってか、寒いな〜このガウン。
などと思っていたら、パタパタと小走りでおばちゃんが戻って来て、
「今日たまたまバイオプシー(細胞検査)のキャンセルが出たんだって! 時間あったらやって行く?」
と言った。
「あ、そうですか?!出来れば今日やりたいな。でもどのくらい待ちますか? 子供のお迎えがあって。」
「20ー30分かな。バイオプシーの前にカウンセラーと一回話さないといけないのよ、サインする書類とかあって。」
「あ、そのくらいだったら大丈夫なんで、是非お願いします!」
やった〜キャンセル!ラッキー! と思ってやりたいと即答すると、おばちゃんも、そうよそうよ!やっていったほうがいいわよ〜! と言っていた。
その前に、このガウンで30分待つのは絶対嫌だなぁ、これじゃ恥ずかしくて、更衣室から出れないし...。
あのーなんか皆さんふかふかのローブ着てますよね〜あれって....、と聞こうとした直前に、
「あなたそのガウンじゃ寒いでしょ?! 待合室で待たないといけないし、今ローブあげるわね! 何でガウンなの?だいたい!笑」 とおばちゃんが不思議そうに聞いてきた。
ナイスタイミング!ナイス気遣い!!
もちろんこれにも即答。
「はい!ずっと寒かったんです!ローブ欲しかったんですよ!」
と、待ってました!が抑えきれず前のめりで言ってしまった。
「そうよね!あなた細くて寒そうよ!笑」
(私は決して細くはないけど、胸のあたりの肉は全くない)
ガハハハ!とよく通る大きい声で勢いよく笑い、あれ〜どこにあるのかしら〜と探して、ふかふかのローブを手渡してくれた。
やっと念願のローブに身を包み、おばちゃんがどこぞの高級スパの様な待合室まで案内してくれ、ここで待ってれば誰かすぐ来るから! と言った。
多分彼女の仕事はただマンモを撮るだけ。
あとは普通ナースが案内したり、ローブをくれたりするのだろう。
おばちゃんの明るさと優しさでとふかふかローブで、結構ぬくぬく気分だった。
乳癌科専門の待合室なのか、椅子は心地よいクッションがきいていて、ガラスの壁にチョロチョロと滝が流れて、造花だったけどお花も飾ってあり、癒しのスペースになっていた事に驚いた。病院じゃないみたい。
私ははじの椅子に座って、少しゆっくりすっか〜と思ったら、もういないと思っていたおばちゃんがまた小走りで戻ってきた。
「今確かめたら、ティファニーってカウンセラーがもうちょっとしたら迎えに来るって。」
と、わざわざ伝えに来てくれた。
わざわざありがとうございます! と、おばちゃんにお礼を言った。ついでに、優しくしてくれてありがとうございました、とも言った。
初マンモはそりゃ痛かったけど、おばちゃんのお陰で笑ってるうちに終わったから。
おばちゃんは今日1番小さい声で、
「あなたは大丈夫よ。心配しないで。」
と言って、グッドラック!と大きい声で言うと、また小走りで自分の持ち場へ戻って行った。
ふかふかローブのお陰もあり、身体は十分に温まった。