「おまわりさん!事件です」


「どうしたんですか?InBanさん」


「いや~ぁ、私の足の小指が薬指を刺したんです。おかげで靴を脱いだら血まみれDeathした…」



「イタくて②歩けなかったんですよ」



「InBanさんて足の病気たくさんしますね」


「ええ。運動会も一回休みましたからね」


「あれサボりなんでしたっけ?」


「サボりじゃねえし…」






それでは物語の続きをご覧下さい。










『世界の終わりを、キミと…』



13.


天使は答えを教えてはくれなかったが、その答えはサチが教えてくれた。



俺は分かっていた。


自殺決意した時、俺は自分が何も出来ない人間であると感じていた。



だから俺が死んでも誰も何も思わないと思っていた。


だけど、天使と会い、サチと会って俺は心から誓った。


サチを助けたいと。



それはもうこの世に存在しない俺にとってできることは言葉でサチを支えることだった。


言葉は相手に力を与えることを俺は知っていた。



『サチ。ありがとうな。サチに会えてよかったと思うよ』


俺は心からサチにお礼を言った。


これは俺の本音だ。


サチは俺がサチを成長させたと言ったが、それは俺自身にも言えることだ。


サチの存在が俺を成長させてくれた。




すっかりと夜に姿を変えた街を、俺たちは並んで歩いた。


『サチ。後は母親に話すだけだな』


俺は話を切り出した。


サチに残された問題は母親にサチの夢を認めてもらうだけだ。



「でも、私はもう感情的なったりはしないわ。哲郎もいるし」


サチは俺をチラリと見て言った。



『そうだよ。サチは一人じゃねえんだ。俺もいるんだし、安心して話すといい』





次の日、学校から帰る途中、サチは母親に話すと俺に報告した。



扉を開けると、家の中はシンとしていた。


その空気でサチは少しだじろいでしまった。



「(哲朗。なんて言えばいいかしら)」


サチが不安そうに聞く。


『そうだな。まず“ただいま”って言うんだ』



「ただいま」


サチが大声でそう言うと、中から母親が出てきた。


「お帰りなさい。サチ」


落ち着いた雰囲気だった。



「お母さん。あの…話があるの」


そう言うとサチは制服を着替えないでリビングに向かった。


サチは俺に報告した時、まず、ヒドイことを言ってしまったことを謝りたいと言った。


その言葉を聞いたとき、俺は驚いてしまった。


今のサチには母親を気遣う心の余裕もあったのだ。



「ごめんなさい。お母さん。私、お母さんにヒドイことを言ったわ」


そう言って、頭を下げるサチを母親は優しく見た。


そして、


「気にしてないわ。それよりもサチの行きたいところをお母さんに教えて」


母親はサチの肩に手を置いて言った。


サチも俺もビックリしてしまった。


「驚いてる?お母さんね、全てお父さんから聞いたの。お母さんね、サチがあそこまで自分の意思を通したの初めて見たからビックリしてしまってね。でも、サチがあそこまで自分の意思を押し通すって言うことは本当に美容師になりたいってことだと分かったわ。だから、応援することにしたの。サチ、今まで気付かなくてごめんなさいね」



サチの目は涙で溢れていた。


それは悲しいのではない。


嬉しくて泣いている。


サチの気持ちは確かに伝わっていた。


どんなかたちだろうと、確かに伝わった。


気持ちが強ければ強い程に。




その夜、父親も帰り、久しぶりに家族で話していた。


サチは専門学校についての話を二人にしていた。



俺はただ黙ってこの幸せそうな光景を見守っていた。







はい。



今日はここまでです。


これで13章は終わりで、サチが主役の回はここで終ります。



これからは哲朗が主役に戻ります。


最終章に突入する、気になる新章はまた次回。




バイバInBan。