早速ですが、




『世界の終わりを、キミと…』



13.


サチはゴハンのときも、家を出るときも両親と顔を合わせなければ、もちろん話しもしない。


ずっと冷戦状態だ。


俺はどうにかしてサチのもう一度両親と話をする機会を作りたいと思った。



自暴自棄になっては何の解決にもならない。


俺はサチを説得することにした。



『なあ、サチ。もう一回話してみねえ?』


「…」


今、サチは学校に向かっている。


俺はサチの視界に入るように前に立って話しかけた。


『このままじゃだめだって』


「……」


俺が何を言ってもサチは答えない。



『聞いてまちゅか?サチのためなんだぞ。やっぱ家族なんだからさ。せっかく勇気を出して言ったんだ。気持ちを伝わってるって』


サチは耳を貸さない様子だ。



どうすればいい。



サチの気持ちは良く分かる。



それはサチがどれだけ美容師になりたいか知っているからだ。



なりたいって気持ちを両親に伝えれば分かってくれると俺は思っていた。



『サチ』


俺がしつこくサチに話しかけると、サチはやっと俺の言葉に耳を傾けてくれたようで、口を開いた。



「あなたはいいわよ。もう死んでるんだから!そうやって人事のように言っていればいいんですもの。私はどうなるの?私は哲朗が言った通りにしたわ。でも、ダメだったじゃない。もう何をしてもあの両親は分かってくれないわ。夢を諦めるか、出て行くしかないの」


サチは冷たく言うと、歩きを早めた。


サチは自暴自棄になっていた。


何を言ってもそれはサチにとってふさわしい言葉ではないのだ。


「あなたはいいわよ。もう死んでるんだから!」という言葉はさすがに効いた。



確かに、幽霊の俺が言えたことではないかもしれない。


でも、だからこそ俺は言うべきだと思っている。



俺は経験者なんだから。


失敗のほうの。



俺があの時駆け落ちを選ばなかったら、カナを失うこともなかった。



だけど、今そう思うのは、結果カナに怪我を負わせ、その怪我の責任を取るかたちで俺が自殺したからだ。



そうならなかったらきっと、気付かなかっただろう。



だから、サチを止められるのは俺しかいないのだ。


方法は?


なにがある?





サチの学校での生活は順調だ。


友達も増えたし、明るく笑うようになった。


なのに、俺は悲しかった。



サチにあんなことを言われたからだ。



『(もう、俺は必要ないのかな?死んだやつはでしゃばっちゃいけないよな』


俺は独り言のようにこぼした。


サチが笑っているのに、俺は一緒に笑えない。



それが辛かった。



『何くらいこと言ってんの。頑張りなさいよ』


天使が側に来て言った。


『(あんたはいいよな。そうやって俺に指図するだけなんだから)』


俺は天使に嫌味を言った。


『何サチみたいなこと言ってんのよ。二十五歳にもなったいい大人が』



『(年は関係ないだろう…)』


『サチはね、初めて自分から勇気を出したのに、それが叶わなかったことに傷ついているの。あなたが癒してあげないで、誰があの子の気持ちをわかってあげるのよ』



天使が俺の気持ちを煽るように言った。


『アナタは根気が取り柄でしょう』


『(分かったよ。やってみる。俺が言うよ)』


俺は自分に言い聞かせるように言った。




次の日の登校時間も、俺はサチに言い続けた。


サチが聞いていてもいなくても話し続けた。


『サチ』


俺はサチと分かり合えたかと思っていたのに、それは俺だけが思っていたことだったのだろうか。



そう思うと、寂しかった。




そのうち、俺たちの会話(俺が一方的に話している話)は無くなっていった。



俺もだんだん疲れてしまっていた。



俺は一体何のためにサチの側にいるのだろう。



サチを助けたいのに、力になれない。









はい。



今日は短いですけど、ここまでです。



哲朗に襲い掛かった新たな壁。


哲朗はどう攻略し、サチを助けるのでしょう。



乞うご期待ください。


それでは良い週末を。




バイバInBan。