『世界の終わりを、キミと…』



9.


エリと別れた帰り、俺は何も話さずにずっと黙っていた。


「哲朗。どうして黙っているの?」


俺がずっと何も話さないでいることに気付いたサチが話しかけた。


サチはエリにあんなにひどいイジメに遭っていたにに、自殺に逃げようとしたことは一度も無いときっぱり言った。


サチはこの年で、人の死の重さをきちんと分かっていた。


俺はそんなサチに会せる顔が無かった。



死に逃げたくせに偉そうなことを言って、サチを守るなんて言っていた自分が恥ずかしかった。


「私が自殺するなんてって言ったことに対して黙っているの?」


サチは俺の目を見て言う。



当たっている。


俺はサチの目を見れない。


今、俺はどんな顔をしているのだろう。



「哲朗のお陰なのよ。私に命の大切さを教えてくれたのは哲朗よ。私、エリちゃんには偉そうに自殺なんてしてはいけないって言ったけど、本当は違うの。そんな偉そうなこと言える立場じゃないわ。私ね、本当は自殺することが怖かったの。臆病者だから、自分で自分を殺すなんてとてもできなかった。でも、あなたは生きることで強くなれるって教えてくれたわ」



『サチ…』


サチの笑顔に俺は救われた。





「ねえ、神田さんちょっと」



昼休み、サチが本を読んでいると、エリの友達のガラの悪い友達が声をかけてきた。



サチは彼女たちに連れられて、裏庭に向かった。



この学校の裏庭は裏庭なだけあって、芝は生い茂り、太陽の陽が当たらない暗いところだった。


嫌な予感がする。



裏庭に着くなり、彼女たちは早速本題に入った。



「あんたさ、先生にチクッた?」



「え?なにを」


サチは何を言っているのか分からないようで、聞き返した。


「だぁ~かぁ~ら、うちらにイジめられたことを先生に言ったのかって聞いてんだよ」


「エリがすごく落ち込んでんだけど、アンタが言ったからでしょ?」


エリはあの一件ですっかり元気をなくしてまったようで、そのことでサチがイジメられたことを先生に言ったのではないかと疑われたようだ。



サチは困ってしまった。



なぜなら、サチはなんでエリが落ち込んでいるのか知っているからだ。



しかし、そのことはエリと内緒にすると約束しているからだ。



「何とか言えよ!テメェーマジむかつく」


俺はどうにかしてこの場を打開しなくてはと試行錯誤した。



だが、この場を乗り切る方法が思い浮かばない。



サチがエリとの約束を破って本当のことを話すとは思えないし、そうしたところで彼女たちが信じてくれるとも思えない。



「ちょっと、なにしてんの?」


彼女たちは声がしたほうを振り返る。


当然サチも俺も振り向いた。



すると、そこにはエリがいた。


「エリ。こうち先生にうちらのことチクッたらしいよ」


「は?!」


エリは全くこの状況も彼女の言葉も分かっていないようだった。



「だから、この女がエリのこと先生に言ったんでしょ?だからエリ最近元気ないんでしょ?」


「違うし。アタシ先生に何も言われてないよ。てかさ、そんなことで呼んだの?」



「だってそうじゃないの?こいつ何も言わないけどそうなんでしょ?」


「バカじゃん!違うよ。サチは悪くないし。何も言わないでって頼んだのはアタシなの」



え?今、エリ派サチのことを名前で呼んだ?


てか、エリがサチを庇った?



俺はその光景が嘘のようでたまらなかった。


「アタシさ、男出来たって言ったじゃん。でも、昨日見事にフラレてさ。ぶっちゃけ自殺しようとしたの。ショックで。でも、サチが助けてくれたんだよ。アタシの命の恩人なの」



「へ?」



みんなポカンとしていた。



俺もポカンとしていた。


これもあの天使のおかげなのか?


「今後サチイジメたらアタシが許さないから」



エリはそう言って、サチの肩に手を置いた。


「この子、超いい子なんだよ。分かったら行って。アタシ、サチと話があるから」


エリは手で追いやるジェスチャーをした。



みんなエリの言うとおりに帰って行った。


いなくなったのを確認すると、エリはサチを横に座らせた。



「これで貸し借りなしだからね」


サチは少し残念そうな顔をした。



エリがただお情けで助けてくれたということが分かったからだ。



しかし、エリはそんなサチを見ると苦笑した。



「アハハ。うそうそ。あいつら血の気多いからケンカ早くていけないね。でも、友達想いのいい子達だから許してあげて」


エリは言った。



「アンタを助けたのは、お情けじゃないよ。あの時のお礼がしたくて探してたら、ここの呼ばれたって聞いて飛んできたんだ。案の定リンチされそうになってるし」


サチは安心した笑みを浮かべた。



エリはサチと仲直りしたくて探していたらしいことが分かったからだ。


「アタシ、あんたがどういう子かも知らないでひどいことしたよね。許してくれる?」


「ええ。さっき助けてくれたし。もう忘れましょう」



サチは菩薩のような笑顔で言った。


「ありがとう。えっと…サチ」



エリは照れながら言った。






なんと!



エリとサチが仲良くなりました。



こんなこともあるんですね。


次回はどんなドラマが?!




おもしろくなってきた世界の終わりを、キミと…お楽しみに♪



バイバInBan。