はい。


真夜中に失礼しますよ。


InBanですよ。




お部屋番号三○五も中盤に差し掛かり、春姫の秘密が少しだけ明らかになってきましたね。




気になる続きをどうぞ。










『18.     生まれてきたわけ』     ⑤






京子はやりたかった花火ができて満足そうだった。


しかし、時刻はとっくに日にちをまたいでおり、みんな急いで帰りの支度を始めた。




俺がうちに着いたのはそれから三時間後だった。



行きと違い、道路はすごく空いていてナビが示す時間より早く帰ることができた。



部屋も戻ると春姫に出迎えられた。


春姫に迎えたれた瞬間、俺は春姫を抱きしめたい衝動に駆られた。



あの時、炎の中にいた時のことを思い出す。



逃げ惑う人の中で俺の横を通り過ぎて行ったのは春姫だったかもしれない。


あの女の人の中にいた赤ちゃんは春姫だったのかもしれない。



そう思うと、とても悲しい気持ちになる。



もちろん俺が生きているわけでも、あの時俺がどうかしてあげられるわけでもない。



でも、もしかしたら助けてあげられたのではないかという、後悔に似た気持ちになった。



しかし、あまり強く思っているとまた、春姫に気付かれてしまうので、俺はなるべく春姫と目を合わさないように、用もないのにベランダに出た。



周りはすっかり真夜中。


昼間に比べると夜は涼しい。


寝やすい気温なのに俺は目を閉じるのが怖かった。



夜風に当たりながら考えていた。



目の前にはすっかり嘘のように平和が広がっている。



俺たちは守られている。


当時の人たちは何を思っただろう。



行きたいと願う以外に何を願っていたのだろう。



みんなのように夢があったのだろうか。



「熱かっただろうな。苦しかっただろうな」と、部屋の中の春姫を見ながら思った。



部屋の中の春姫が心配そうに俺を見ているので、俺は部屋に戻った。



『海は楽しくなかったのか?』


春姫が聞く。



「いや、楽しかったよ。楽しかったに決まってんじゃねーか」


春姫は俺がずっと元気がないのを心配してくれる。



俺はその気持ちを紛らわすために美保ちゃんにメールを打った。


“今日、友達が遅刻して海に入らなかったんだよ。でも、穴場を見つけてそこから海を見たんだけど、すごくきれいだった。今度連れて行くね”と、そして、海の写真も添付した。



『アツヤ。わしも見てみたかったな』


「やっぱ春姫も連れて行けばよかったな。迷ったんだよ。でもお前断ると思って。ごめんな」


すると、春姫は黙ってしまった。


俺のことを見たまま黙っている。



「は…春姫?」


怒っているのかな?


俺は不安になって春姫を呼ぶが、春姫は応えない。



しばらくその状態が続いたが、春姫の様子は同じだった。



「なんか飲むもの取りに行って来る」


『うん。いいぞ』


たまらず俺が言うと、春姫はあっさりと言った。



「春姫。なんだったんだ?さっきの」


さっきのことを春姫に問い詰めた。



すると、春姫はすまなかったと謝った。そして、



『きれいな海だったのだな』


と言った。


「なんだよ。それはさっき言っただろ?」


『そうなんじゃが、さっきお主の記憶を少しだけ見せてもらった』



「は?!お前…そんなこともできんの?プライバシーだろうが」



俺はあの映像も見られたのではないかと心配になった。



『それはわしも力を使うゆえ本当に使うことまずはない。約束してやる。だが、わしも海を見てみたくてな』


「…見たことないのか?」


『テレビとかではあるが、実際にはないのじゃ』


「そっか」


やっぱり俺は後悔した。



そんな余裕があの時代のどこにあったのだというんだ。



『…お主がなぜ元気がないか分かったぞ。お主はわしにあてられたな』


「え?」


『少し、霊感が強くなったのではないか?』


「見たのかよ…」



『せっかくの海水浴なのに、帰ったお主は元気がないので心配になったのじゃ』


「ああ。ごめんな」



春姫はやっぱあの映像も見たらしい。


「なあ、春姫は羨ましく思ったことはあるのか?」


俺が春姫だったら絶対に今、幸せそうに生きている人が羨ましくて仕方ないと思う。



なんで、自分はあんな残酷な死に方をしたのかって。



しかし、俺の予想に反して春姫は首を横に振った。


「思わないのか?」



『ああ。わしは人を羨ましく思ったことはない。もしそんなヤツがいたとしたら霊になる前に消えておるだろうな。この世に害を及ぼすヤツは神様によって消されるんじゃ』



最後は冗談みたいに春姫は言ったが、人を羨ましく思っていないというのは本当なのだろう。



「春姫はやっぱすごいな」


俺は触れないけど、春姫の頭に手を置いて撫でる仕草をしながら言った。







はい。



送れてすいませんね。



なんかサーバーのメンテでアメブロできなっかたもので。



今日も飲みだからきっとブログはできないでしょう。



ごめんなさい。



この章はここで終わりです。



次回の章はアツヤ君の実家のお話を書きます。



それでは次の章で会いましょう。



バイバInBan。