どぅも~今年こそは彼氏いないけど、結婚をかなり本気で考えているInBanです。
分かってるよ。
イタいっって言いたいんでしょ?
「余計なお世話だよ!!!」
紹介してくれるの?
「おねがいしますッ!!!」
いや、物語は夏ですね。
季節変わって夏のお話になってきます。
細かい突っ込みは受け付けません。
さて、前回はハルカお姉さんのハッピィなお話で終わりました。
今回は少しだけ春姫が活躍する回です。
それではお楽しみ下さい。
『17. 夏祭りの奇蹟』 ①
俺の部屋には幸運にもクーラーがあるので、外でけたたましく鳴き続けているセミの声も、音楽をかけていれば全然聞こえない。
そのなか、俺はたまりにたまったレポートをやっつけていた。
携帯が鳴ったのはレポートがイイ感じに進んできたときだった。
今手を止めたらきっと後やる気が起きないような気がして、しつこくなり続きえている携帯を無視していた。
『アツヤ。電話に出なくていいのか?』
朝が嫌いでずっと姿を消していた春姫が、外で鳴いているセミのようにけたたましくなり続けている携帯の音で目を覚まして言った。
「いいの。今いいとこだから。どうせ京子が浩志だろ?あとでかけ直すからほっといて」
『美保からだぞ』
着信は全部で三件あって、そのすべてが美保ちゃんからだった。
『悪い男だな~アツヤ。もう手の平で転がせるようになったら途端に放置プレイか?』
「違うよ!春姫」
俺は慌ててレポートをしていた手を止めた。
お互い課題などで忙しくなってきてここ最近遊んでいなかったのだ。
しかも、三件もかけてくれるということはもしかしたら急用かもしれない。
「もしもし」
二コールで電話に出た美保ちゃんの声は、俺の気持ちとは裏腹にどこか安心したような雰囲気だった。
しかも、美保ちゃんは「大丈夫?」と俺に聞いた。
「え?なにが?」
俺はなんで美保ちゃんが俺を心配しているのか聞いた。
すると、美保ちゃんは答えてくれた。
どうやら、太一が美保ちゃんに俺が夏バテで数日飲まず食わずでいるから死んでいるかもという脅しの電話が入ったらしく、優しい美保ちゃんは太一なんかの言葉を信じて連絡をしてくれたらしい。
確かに俺は寒いのより暑いほうが苦手だが、いくらなんでも夏バテで死んだりはしない。
「大丈夫だよ。俺今レポートやってたんだ。それで電話に出れなくてさ。心配かけちゃってごめんね。あと、太一のことは信用しなくていいから」
俺は美保ちゃんの心配を取り除くために電話に出られなかったわけを話した。
「ところで美保ちゃんは課題とか終わった?」
せっかく美保ちゃんと話をする機会なので、すぐに電話を切ってはもったいないと俺は美保ちゃんに質問をした。
「実は私もまだ終わってないの。でももう、今日はやらないって決めたの」
美保ちゃんは明るく言った。
「じゃあさ、俺もこのレポートだけだからこれが終わったらどっか遊びに行かない?」
今日美保ちゃんと話せたのはラッキーだった。
実は俺は美保ちゃんと行きたいところがあったのだ。
「うん。遊ぼう。私今日何もないからアツヤ君のレポートが終わったら連絡下さい」
「分かった」と、電話を切ってから俺は死に物狂いでレポートに打ち込んだ。
今俺が必死の形相で打ち込んでいるレポートは“昔の文化と現代の文化の違い”についてのレポートだった。
戦争経験者や近所に住んでいる高齢者の話を聞いてレポートにまとめるといったものだ。
話してくれる人が近くにいなくてもインターネットが普及している今の時代は大変便利だ。
しかし、その手段が接続されていない俺はとて不便だ。
携帯での検索はたかが知れている。
こういうとき、頼りになりそうな田舎の祖父母だって俺が幼いときに亡くなっている。
図書館に行ったって何から手をつけていいのか迷っている時間は俺にはない。
インターネットカフェはこの近くにはない。
時間は残酷にも過ぎて行く。
『行き詰まっておるようじゃな。アツヤ』
「春姫…あっ!!そうだ春姫」
俺が突然大きな声を出したものだから春姫は驚いてしまった。
「ああ、ごめん」
そうだ。
春姫は戦争経験者だ。
それに、たくさんの出来事を見てきているはずだ。
春姫に聞けばいい。
…と、一瞬思ったが、そのあと、俺はやっぱり自力で探すことにした。
だって、春姫に戦争の話を聞くということは、春姫はあのいやな戦争のことを思い出さないといけない。
あの出来事は春姫が生まれたきっかけだったのと同時に、春姫たちの願いが叶わなかった出来事だからだ。
『お主、またわしに気を使っておるな』
「春姫…」
今は気づかれてしまっても俺にはこの気持ちを隠す余裕はなかった。
『お主、なぜわしを見ずに話すのじゃ?わしの心苦しいと思っておるのか?』
「春姫、ごめん」
『なぜ謝る?わしは何も怒っておらぬ。むしろ、わしは嬉しいのだ。お主はちっとも学習せんな。わしはあのことについては何も思っておらん。お主が気にすることではない』
春姫はそういう話をするとき絶対に目を逸らさずに俺を見て話をする。
『ふん!アツヤの為に特別に話をしてやろう。霊となってもわしらはずっとこの場所に居続けたため、その後の出来事も鮮明に覚えておる』
そう言うと、春姫は一回黙ってから話し出した。
『そうだな、あの頃はとにかく食べるものがなかった。それこそ口に入るものがそばにあるだけで幸せなのだよ。草の芽を食べておる人もいたし、腐った芋を食べている人もおった』
それは遠い昔の、春姫たちが亡くなって間もない頃の話。
『今となっては情報は溢れておる。しかし、あの頃はどんなに近い距離の情報だって幾日もかかってやっと耳に届く。わしはもちろんその場で実際に体験したわけではないので実際に経験したことのあるものよりは説得力に欠ける部分はあるが、大方事実じゃろうな。とにかく何をするにも不便じゃった。そんな生活にみな苛立ち、揉め事も耐えなかった。犯罪だって当たり前のように起きていた。殺人、盗み、放火』
春姫は時々目を閉じ、その時の情景を思い出すように話した。
俺は必死にメモを取りながら聞いている。
『お主、他にきくことはないのか?できる限り答えてやるぞ』
春姫は親切にそう言ってくれたので、俺は遠慮なくそのときに流行った遊びや、美味しかった食べ物、着ていた服などを聞いた。
春姫のお陰で俺は十二枚にも及ぶレポートを書くことができた。
全部手書きにしなくてはならないので、大変だった。
「ありがと。春姫、すごくいいのが書けたよ。ゴメンな、辛いこと思い出させて」
『わしはお主のそういうところが好きじゃよ。あのときのことはわしには全く関係ないことじゃ。気にするな』
春姫の言葉に俺は改めて春姫は大きいなと思った。
『アツヤ。無事課題も済んだことだし、美保とどこに行く気なんだ?』
「うん、今日は美保ちゃんと夏祭りに行こうと思ってさ。この近くでやってて大きな笹に願い事が書けるんだよ。俺こっち来てまだ一回しか行ってないけど、また来たいって思ってさ。今度は好きなこと行こうと思ってたんだよ」
俺が今日美保ちゃんと行こうと思っているお祭りは、結構大きなもののようで、去年は京子と浩志と三人で行った。
屋台などもたくさん出る。
『そうか、もうそういうシーズンになったのか』
春姫はしみじみと言った。
はい。
少し長かったですね。
お疲れ様でした。
次回は夏祭りのことをたくさん書いていこうと思います。
それでは次の章で会いましょう。
バイバInBan。