またせたな。
InBanです。
それでは早速本題のほう参ります。
今、部屋の電気がチカ②して、かなり目に悪そう…
これ…替えないとね。
今回はお待ちかねの美保ちゃんのあこがれの先輩サチさんの美容院にアツヤ君が行きます。
会話にご注目下さい。
ではご覧ください。
『16. 隠してきた事実』 ⑤
『何を見ておるのじゃ?』
家に帰り、雑誌を読んでいた俺に春姫が話し掛けた。
今、俺が熱心に読んでいる雑誌はヘアカタログで、明日に行く美容院でどんな髪型にするか迷わないためにあらかじめプランをたてようと見ていた。
「これ、髪形がたくさん載ってる本でさ。ほら、俺明日美容院行くじゃん」
『ふうん』
春姫はあまり興味ないようであっちに行ってしまった。
とはいっても、読んでいる俺自身も実際さっきからページを無駄にめくっている。
もともと、クセのある髪質でも、カラーをしているわけでもなく、ましてやパーマをかけているわけでもない俺の髪は本当にどこにでもいる普通の男の髪型だ。
何が合うのか、どんなことができるのか分からない。
少し、伸びてきたなと思ったら自分で切ってしまうのだ。
そういうところは結構器用だったりする。
『それこそ美保に相談するべきなのではないか?お主たちはもう付き合っておるのだからなにを気を使うことがあるのだ?初恋か?中学生か?』
春姫は部屋を行ったり来たりして言う。
春姫の言うことはもっともだと思うが、俺は何よりも美保ちゃんの天然ぶりに少し、戸惑っている。
本当にサチという人の働いているお店を紹介してくれ、しかも、なんとそこに俺一人で行くということに。
きっと、美保ちゃんなら「そういうことならサチさんに任せれば大丈夫よ」とか言うに決まっている。
相談するにしても事前にインスピレーションが浮かんでいるほうが話がしやすいと思い、俺は美保ちゃんに相談しないで雑誌で探すことにしたわけだ。
「春姫。今髪型俺がしたらどう?」
俺は今の自分の髪の長さに近く、それに少し段をつけて軽い雰囲気の髪形をしているモデルを指して春姫に聞いた。
『ふ~ん。わしとしてはこっちのほうが似合いそうだ』
春姫はそのモデルの隣を指した。
俺の指したモデルよりも少し、短い髪型で全体が茶色い色をしていた。
「ああ、俺カラー剤のニオイだめなんだよ。一回も髪染めたことないし」
『わしはそのくらい髪が短くてもいいのではないかと思ったのじゃが』
俺は鏡の自分と雑誌を見比べながら少しずつだがイメージできてきたことを実感していた。
約束の時間よりも早く美容院に着いてしまった。
初めて行くので少し余裕を持ったのだが思いのほかすぐに見つかった。
お店の名前は「BREAM」。間違いなかった。
しかし、時間をつぶすにしてもこの近くにコンビにも喫茶店らしきお店もなかった。
仕方ないので少し早いが店に行くことにした。
「いらっしゃいませ」
働いている人は全部で七名。
男性が二人いるだけであとは女性だった。
店内は白と茶色をベースにしているようで、暖かさや落ち着いた大人の雰囲気を感じた。
「あの…十一時に予約している島村ですけど」
俺がそう言うと、受付をしてくれた人が席に案内してくれた。
「お待ちしておりました。こちらで少し、お待ち下さい」
そう言って、店の奥に入って行ってしまった。
俺のほかにも数人のお客さんがいるところを見ると、繁盛している感じだった。
「お待たせいたしました。美保ちゃんのご紹介の方ですよね?」
鏡越しに笑顔で迎えてくれた。
きっと、この人がサチさんだろう。
「はい。えっと…」
「担当をさせて頂きます、神田倖と申します」
きれいな人なので驚いた。
長いウェーブのかかった髪を二つに結んでいた。
いい香りがする。
「今日はいかがいたしましょう?」
そう言われた途端、俺がせっかく少しだけ考えていたイメージがふっとんでしまった。
「ま…任せます」
「はは。緊張してますか?」
「ええ。ちょっと」
本当に緊張していた。
こんな本格的な美容院に行くのも始めてなのだが、何よりも美保ちゃんの知り合いだということが一番大きかった。
「リラックスして下さいね。少し流します」
サチさんはそう言うと、俺をシャワー台へ案内した。
髪は短いので簡単なシャンプーをした後、再び元の席に戻り、俺が任せると言ったのでサチさんは早速はさみを入れ始めた。
その間俺はもらった雑誌を読んでいた。
「島村さんは美保ちゃんと付き合ってるんですか?」
「…え?!」
突然言うものだから最初沈黙してしまった。
「はい。まあ」
「聞いてもいいですか?」
「なんですか?」
俺はこの人が何を言うのかすごく気になってしまった。
もしかしたらサチさんも美保ちゃんと同様天然ですごいことを言うかもしれないと身構えてしまう。
「どっちから告白したんですか?」
「え?…ああ、向こう…からです」
恥ずかしくて俺は聞こえるか聞こえないかの大きさで答えた。
会ってまだ間もない、ましてやお客に言う質問ではないだろう…
「ごめんなさいね。私、彼女とはカットモデルとしてお付き合いさせてもらってて、それから色々話をするようになったんだけど、どうやら美保ちゃんは男の子と付き合ったことがないみたいで」
「そうみたいですね」
俺はサチさんの話に答えながら雑誌をめくっていた。
「でも、男の人を紹介するなんてすごく珍しいことだから驚いてしまったわ」
「確かに驚きますよね。俺も正直驚きましたし」
「そうでしょうね」
やはりプロなだけあってすごく早く髪の毛を切る。
しかも、細かく髪を切っていく。
そのはさみ捌きに見惚れてしまう。
「美保ちゃんも美容師になりたいみたいですね」
「そうなんだってね。うれしいわ」
サチさんは笑った。
笑った顔がかわいあった。
鏡のサチさんを見ていて、目が合ってしまったので慌てて視線を雑誌に移すと、おもしろい特集が載っていた。
“あなたの幽霊体験談”
もうすぐで夏を迎える季節なのでそういう類の話は多いのだろう。
俺は自分と同じ境遇の人がいるの興味が沸いて、その特集を読むことにした。
しかし、どれも心霊スポットに行って怖い思いをしたという話ばかりだった。
怖いのなら行かなければいいのにと思っている自分がいた。
俺が探していたのは幽霊を見たり、幽霊と話したことがあるという話だったが、さすがにそういう経験をした人はいなかった。
諦めて次のページに移ろうとした時、ふと鏡を見るとサチさんもこのページを見ていた。
「気になりました?」
俺はあまり美容院に行ったことはないが、美容師が自分の見ている雑誌に興味を持って見ているという経験はなかったので、気になった聞いた。
すると、サチさんは申し訳なさそうに謝った。
「ごめんなさい。ちょっとこういうの気になってしまって」
「あはは。幽霊とか信じる人ですか?」
俺は春姫のことを匂わすような言動を控えるためにも普通の人が返すような返事をした。
「ええ。まあ」
サチさんは少し、意味深な言い方をした。
「これは笑い話なんだけど、昔、幽霊を見たことがあるの」
「え?!」
本気で驚いてしまった?
「どんな幽霊なんですか?」
「あ。興味持ったね!」
春姫みたいな幽霊なのか確かめたかった。
俺の中では幽霊イコール春姫で、ほかの幽霊の話が聞けるから興味があった。
「私が見たのは男性の幽霊よ。全然面識ないのに私の前に現われたの」
サチさんは思い出しながら話をする。
「思えば、その幽霊のおかげで私は今美容師になれている気がするわ。自信のなかった私に勇気をくれてね。何を話したかとかはもうあまり覚えていないけれど、とても大切な存在だったのは確か。初恋だったのかも。幽霊が初恋の相手っていうのも少し、ロマンチックね。ゴーストみたい」
「はは。確かに」
俺が幽霊の話に食いついたから少し、大げさに話をしてくれたのかもしれないと思い、俺はそのまま話を広げることはしなかった。
「どうする?少し、色をつけてみる?」
突然美容師の顔の戻ってサチさんは聞いた。
「あ。そのままでいいです。俺カラー剤のニオイダメなんです」
「ああ。そういう方いますから。分かりました。それでブローして仕上げますね」
あっという間だった。
肩についていた髪は短くなり、目にかかっていた毛も今はもう眉毛につくかつかないかというところまで切り揃えられた。
全体的に見ると、春姫がいいと言っていた雑誌のモデルみたいな髪型になった。
「いかがですか?」
鏡で後ろの髪もみせてもらい、俺は「いい感じになりました」と、お礼の言葉を言った。
はい。
ここまで読んでくれた方。
お疲れ様でした。
本当はもう少し、美保ちゃんとの話ができたらいいのかと思いましたけど、なんせ初対面なものであまり、込み入った話ってしないと思ってやめました。
それよりも、サチさんも幽霊と話したことあるんですね。
気になりますか?
だって初恋だったんですものね。
気になる方はInBanまでアクセスして下さい。
それでは次の章で会いましょう。
バイバInBan。