寒さにも負けずにブログ書いてます。
あなたのInBanでございます。
今日は早速本題に入ります。
今回は少し長めに書こうと思っていますので、携帯でご覧になっている方には少し見ずらいかもしれません。
それではご覧下さい。
『16. 隠してきた事実』 ④
ハルカとは本当にそのことだけを話して帰ってきた。
俺は人生経験が豊富なほうではないので、すぐにその場にふさわしい言葉が出てきてくれない。
「春姫。やっぱハルカ話すのが怖いらしいんだけど、そういう時俺はなんて言ってあげたらいいのかな?」
相変わらず俺は春姫に頼りきりだ。
春姫はまた夕日を眺めていた。
『お主もお節介じゃな』
半分笑いながら春姫が言った。
確かに俺はなんだかんだ言いながら面倒くさい事が好きなようだ。
『お主が姉に言ったことは正しい事だと思うぞ。具体的にどんなことを言ったのかは分からぬが昨日言っていた事を話したのであろう?誰かが言ってやらねばならぬのじゃ。そういうことはなかなか自分で決心が付いて解決できる事は少ない。姉は怖いのじゃ。何もしなければこの生活が続く、でもいつかは知られてしまうのがな』
俺は春姫に言われながらあの時のハルカの頷きを信じることにした。
それから何日か経ったがハルカからの連絡はない。
きっと迷っているのだと思った。
春姫からあまりしつこく催促するのは良くないと言われ、俺はハルカが自分から健一に話をするのを待つことにした。
『アツヤ』
一週間くらいした夜。
俺が夕食の片付けをしていたら春姫が呼んだ。
「なに?」
『携帯が鳴っていたぞ』
見ると美保ちゃんからだった。
早速内容を見るとドライブした時話した件のことだった。
『なんじゃ?』
春姫は興味津々だ。
「ドライブした時に美保ちゃんが憧れていた人の話しになったんだけど、美保ちゃんがその人が働いているところに行ってみたら?って話になったんだよ」
俺はてっきり冗談なのかと思っていたが、美保ちゃんは本気のようだ。
『美容院か?』
「そうなんだ。美保ちゃんサチさんて人に憧れて美容師になりたいって言っててさ。なんか今後行ってみてって言われた。そのサチさんて人には話したみたいで」
『すごい行動力だな』
春姫も感心していた。
確かに、冗談かと思っていたが、美保ちゃんがここまで話を進めていたことに驚いた。
「今後の土曜日予定が空いてたら是非行ってみてって」
メールにはそう書いてあった。
「え?俺一人?」
ちょうど土曜日はバイトもなく休みだったので行けると言えば行ける状態ではある。
メールを返すとやはり俺が一人で行くようだ。
『アツヤ。話した以上は行かないとイケナイのではないか?』
「本当に?俺行くの?」
『美容院だろう?行ってもいいんじゃないか?』
「そうだな。話のネタに行ってみるか」
場所は原宿だった。
そんなに遠いところではないので行くことにした。
電話で予約をとることにし、番号にかけると出た声はとても感じが良かった。
美保ちゃんの紹介と言うとすぐに予約が取れた。
時間は十一時にした。
大学は単位をほぼ取れている俺としては、最近サボりがひどくなってきている。
今日も講義をサボってインテリアを探しに下北沢を歩いていた。
最近は気分転換と季節が変ったことで部屋の模様替えにハマっている。
色も春や夏らしく明るい感じのものを揃えたり、ベッドカバーやクッションカバーの種類もさわやかなものにしようと考えている。
かさばるものはあまり買ったつもりはなくても、それでも荷物は両手いっぱいになってしまった。
どこかに入ろうとしたとき、携帯が鳴った。
一端荷物を置き、携帯を探しディスプレイを見ると、ハルカからだったのですぐに出た。
「もしもし。ハルカ」
ハルカは元気はなさそうだが、今日健一に話をすることにしたが、不安だから一緒に来てという電話だった。
「うん。分かった、恵比寿ね」
ハルカが話をしてくれる気になってくれたことはうれしかった。
家に帰ると、春姫が迎えてくれた。
一人暮らしの人は帰ると一人だということを改めて知り、寂しくなると言うけれど、俺は春姫がいるので全然寂しくない。
『どうした?アツヤ。なんか元気そうじゃな』
「そうかな~春姫。聞いてくれよ。ハルカが健一に話をする気になったみたいでさ」
俺は嬉しさが抑えられなかった。
春姫も嬉しそうだった。
俺たちは健一がいつも帰ってくる八時に合わせて恵比寿の居酒屋で待ち合わせをした。
八時きっかりになって健一がやって来た。
ハルカと俺はすでに到着していて、どういう風に話を切り出すか話していたが、結局何の結果もないまま健一を迎えてしまった。
「二人とも早いね。どうしたの?今日は」
何も知らない健一はビールを頼むとネクタイを緩めながら言った。
「それよりほら。アツヤの彼女ができた記念。またやんない?」
ハルカはやはりまだ話を切り出せないようだった。
「でもアツヤ君の彼女、美保ちゃんだっけ?アツヤ君だから好きになれたってかなりの殺し文句だよね」
健一は感心しながら言った。
確かに、俺だったら恥ずかしくて言えないと思う。
でも、さすがに今日はこれ以上話を広げられない。
テーブルは料理で溢れ、健一以外はあまり手を付けていなかった。
まあ、付けられない。
案の定、料理はたまる一方だ。
そろそろ話しに入った方がいいと思い、俺はさり気なくハルカの足をつついた。
ハルカはそれに気付き、少しためらったが今話さないとチャンスはないと思ったのか、話を切り出した。
「実は今日ね、健一に話さないといけないことがあって呼んだんだ」
健一はハルカの改まった顔を見て、不思議そうな顔をしていた。
「なに?」
健一はこういう時も優しくハルカに聞く。
「…健一はアタシと明るい家庭を作りたいの?」
ハルカの質問に健一は何を言っているんだ?と言うような顔をしたが、「うん」と言った。
それを聞いたハルカは余計話せなくなってしまった。
でもそれでも話し続けた。
「あのね、アタシね」
“子供を産むのが怖い”というその一言が言えないでいた。
「健一はハルカのことが好きだよな」
俺は堪らず健一に確かめるように聞いた。
「うん。もちろん」
「好きならハルカがどんなことを言っても受け止めるよな?」
「当たり前だよ。どうしたの?アツヤ君。ハルカも」
健一は不安そうに言った。
「アタシ、実は健一に隠してた事があるの」
ハルカは健一の言葉を信じて話す決意をしたようだ。
「アタシね…二回流産したの。だからもしかしたら赤ちゃん産めないかも知れないの」
半分泣きながらハルカは話した。
二回流産したこと。
後一回流産してしまうと赤ちゃんが産めない体になってしまう可能性があると。
どのくらいの時間が経ったか分からない。
多分そんなに長い時間ではないと思うけれど、ハルカはゆっくりと話し続けていた。
俺が見守るなか、健一が話し出した。
「ハルカ。それ今まで言わなかったのは、俺がそれでまた逃げると思ったから?」
また?
「また?」
俺はとっさに割り込んでしまった。
健一は今またと言った。
ということは健一は知っているのだろうか。
ハルカが過去に流産が原因で彼氏にふられてしまったことを。
「ハルカから、昔、好きで結婚まで考えていた人に逃げられる形で別れた事は聞いていたよ。でも、原因がそのことだとは知らなかった。ヒドイ男もいたもんだね。俺は別にハルカと明るい家庭を持ちたいとは言ったけど、そのなかに子供がいるかはまた別だよ」
健一はハルカと俺を交互に見ながら話す。
「俺はハルカが好きで結婚したんだよ。そのことが原因で別れるなんて事はしない。少しは俺のこと、信じて欲しいな」
健一は優しく微笑んだ。
「ハルカ。聞いた?やっぱ健一はすごいな」
「あはは。すごくないよ。ハルカにここまで我慢させちゃって悪かったね」
逆に健一が謝った。
ハルカは大粒の涙を流してお礼を言った。
俺は改めて健一みたいになりたいと思った。
「健一アリガトな」
帰り道、なんだか俺は健一にお礼を言いたくなった。
すると健一は肩を軽く叩いて「ハルカはイイ弟を持って良かったね」と、言った。
それは最高の誉め言葉だった。
はい。
ここまで読んでくれたご愛読者様。
ご苦労様でした。
今日は一気に書いてみました。
次回はこの章の最後になります。
それでは次の章で会いましょう。
バイバInBan。