こんばんは。



InBanです。



みなさまが楽しみにして読んで頂いた『死のドライブ』も今日でおしまいです。




それではご覧下さい。










『15.   死のドライブ』   ⑨



夜の運転は細心の注意が必要だ。


運転が上手くても過信せず、初心を忘れずに運転する事と、俺は教習所で学んだ。




だが、



「ねえ、美保ちゃんて免許もらってどのくらい経つの?」



「そうね、二ヶ月くらいかしら」


そう、美保ちゃんに言われ、俺は納得してしまった。


というのも、美保ちゃんの運転はまるで教習所に通い始めて、産まれて初めて車を運転する子のように危なっかしく、助手席に座っているこちらとしてはおちおち周りの景色を眺めている余裕さえなかった。



「ねえ、美保ちゃん。本当に免許持ってるの?」


「本当よ。でも、いつも綾が一緒にいてくれるから色々教えてくれるけど、いざ、一人で運転鶴となると難しいものね」



と、人事のように美保ちゃんは言う。


俺はそんな美保ちゃんの運転に安心して助手席に座っていることが出来ない。


このままじゃ、二人とも危ない。




俺はまるで、教官のように細心の注意を払っている。


教習所の車のように、こちらの席にもブレーキが欲しいくらいだ。



「美保ちゃん。そろそろ代わろうか?」


右折の時なんか、ガードレールギリギリなのでいつ健一の車に傷がつくのか、気が気じゃない。



なんたってこっちはベンツ。しかも、俺の車じゃない。



当然美保ちゃんの車でもない。



ベンツの叫びが聞こえたので、俺はとうとう美保ちゃんに交代を宣言した。



そう言うと、美保ちゃんはホッとした様な顔をした。



俺はやっと死のドライブから解放された。



いや、思えば今日はずっと心臓がすごく働いてくれた気がする。



美保ちゃんに殺されてしまうかと思った。




「今日はありがと。送ってもらって」


美保ちゃんの家の近くで彼女は降りた。


俺は少し、ドキドキしていた。



それは隼人先輩に会うかと思ったからだ。



しかし、今日一回も美保ちゃんから新しい家族の話は聞いていなかった。


少し、残念な気もした。



「また遊ぼうね。アツヤ君」


笑った美保ちゃんはそれはまたかわいくて、俺は車内でガッツポーズをした。





昔のオヤジなんかがよくテレビでちゃぶ台をひっくり返す場面を見たことがあるが、まさか自分がこの場面を実現することになろうとは思わなかった。



だって目の前にお赤飯と鯛の御頭が置かれているのだから。


そして、


「なにこれ…腐ったメレンゲ?」


「違うよ!!これどう見たってチーズケーキじゃん」


ハルカは「なんでわかんないの?」というような顔でこの不思議なものをチーズケーキと答えた。


え?!チーズケーキ?


「なんで少しこげてんの?」


「バーナーで炙ったから」


「やっぱハルカの手作りか…」


「まあまあ、ハルカはブリュレが作りたかったらしいよ」



俺は美保ちゃんと無事付き合うことになったことがうれしかったので、その足で、ハルカ夫婦のマンションに行った。



そして、次の日に家に来てと言われたので行くと、こういう状態になっていたのだ。



だって何も、本当にお赤飯が出てくるとは思わなかった。


「じゃあ、健一のデートプランが好評だったわけだ。なんだ、健一のお陰じゃん。お礼言ってもらいたいわね」


「なんでハルカが威張るんだよ。お礼言うなら健一にだろ」


「でもね、アツヤ君。お兄さんとしてはやはり女の子に告白させちゃだめだよ」


「やっぱな」


男前の健一兄さんは俺のしてしまったことを指摘した。



健一の買って来た高そうな鯛を食べながら、俺は美保ちゃんと遊んで、改めて好きになったこと、そして、美保ちゃんがどうして俺を選んでくれたのかを話した。









はい。



お疲れ様です。



やっと私よりも先にアツヤは幸せを手に入れたわけです。



いいですね。



そのうち、このブログに私のイイ話が載ることを



皆様はどうか祈って下さい。



それでは次の章で会いましょう。


バイバInBan。