突然だった。

「北海道ツーリング行かない?」

高校3年の1学期バイト先の同僚に言われた。
そんな遠くに行った事はなかったしお金も足りないと思う。
だいいち、相手はあまり話もしないただの顔見知り。

「行ってみたいけどお金が・・・」

「足りない分は貸すから一緒に行かない?」

「いつか行けたら良いな」と思ってはいたが
まさかこんなに早く機会が訪れるとは思わなかった。
この頃北海道ツーリングはまだまだメジャーではなく
ライダーハウスは皆無、ミツバチ族なんて言葉も無かった。

高校を卒業したら就職する自分にとって最後の夏休み、
「今しか出来ないこと」と考えて行く事にした。

これが1回目の北海道ツーリング及び
一番の親友となる人物との出会いだった。

そして準備が始まる。
フェリーの手配、ルート検討、キャンプ用具の確保など
人から借りられるものは借りて出費を抑えた。
週末の度に相談を重ねた。

荷物はゴミ用のビニールに入れて
スポーツバッグに詰める事にした。
防水仕様のツーリングザックなど発売されていなかった。
タンクバック(当時定番のコロナ製)は持っていたので
あとはデニム地の振り分けバッグを兄から借りた。

ツーリングマップもツーリングマップルも
発売されていなかったから
1枚になっている地図と車用のA4版の地図を用意した。

相手も自分と同じ高校3年でRZ50に乗っていた。
彼は北海道ツーリングへの思いが強く
バイトで資金を貯めながら計画を温めていたらしい。
しかし一人で行くことに両親の反対があり
パートナーを探していたとのことだった。

旅行ガイドなどで調べると北海道は(当時)かなりの
田舎で未舗装の国道なんて当たり前。
商店は7時を過ぎると皆閉まってしまう。
GSも例外ではなく日曜営業は珍しいとの情報があった。

米と最低限の工具は持参する必要があると解った。
安物のラチェットレンチSETと空気入れを準備した。

両親に計画を話して了解を得てから
フェリーを学割で利用する為の証明書を学校から受け取った。

ルートがほぼ決まった。
苫小牧から上陸、洞爺湖経由で支笏湖へ
札幌・旭川経由で稚内まで北上、
オホーツク海に沿ってサロマ湖・網走経由で知床へ
阿寒湖周辺を廻って帯広・釧路経由で襟裳岬へ
出発地の苫小牧を通過して再びの支笏湖で最後のキャンプ。

白地図を買ってルートを黒ペンで書き込んだ。
そして実際に走ったところから赤ペンで塗りつぶすことにした。

道内約10日間のプランになった。

「原付で・高校生が・北海道ツーリング!」

当時の自分にとっては胸が躍る
優越感さえ感じるキーワードだった。

そして次回。。。ついに出発の日を迎える。