丘についたタンポポ
「風さんはどこにいるのかしら」
そんなことを
言いながら
丘を登っていった
小さな
タンポポには
丘を登るなんて
産まれて
始めての体験
「はぁ
風さんが
風を
起こしてくれたら
空から
探せたのに…」
ふと
タンポポは思った
「でも
今日朝
風なんて
なければ
いいのに
なんてことも
思った」
そう
今日の朝
タンポポは
風と
会ったときのことを
思い出していた
「風さーん
どこなのー?」
しかし
タンポポの声は
途中で
途絶えていた
その訳は
丘に
ぽつんと
木が
あったから
でも
その木は
けして
大きくもなければ
太く
どんな風にも
耐えられる
そんな
木では
ないのです
逆に
葉はなく
今にも
倒れてきそうなのです
「大丈夫?」
と
タンポポが
聞いたが
返事はなかった
「どうしちゃったのかな」
タンポポは
少し
不安そうに
気にしていた
すると
「私は
この丘に
住み続けて
もう
十年
私が
この
丘に
始めて
来たときには
もっと
緑
そして
水が
豊富に
あったんだ
でも
今では
何にも
ない」
「どうして
何もなくなったの?」
「それは…」
「それは?」
「…っくす…ひっく…」
「あっ
ごめんなさい
私
変な
こと言って…」
「……いえ
あなたが
悪いわけでは
ないのだから
私は
こう見えても
昔は
オリーブの木
だったのよ
今では
何にも
実が
なければ
葉もないから」
と
オリーブの木は
悲しげに
話していた
「タンポポさんは
小さいのに
どうして
こんな
何もないような
ところに
来ているですか?」
「あ
私は
ある人を
探していたの」
「誰だか
聞いても
よろしいですか?」
「あ
はい
風さんなんです」
「あら
彼なら
もう
とっくに
ここを
降りていったは」
「そうなんですか?」
「えぇ
彼は
数時間前までは
私と
少しだけですが
話を
していましたよ」
「それで
彼は
どちらに
行ったのですか?」
「さぁ
私は
調子が
あまり優れないから
彼が
帰るところ
までは
覚えていないは…」
「そうですかぁ」
「でも
たしか
記憶が
正しければですが
彼は
海へ
行くと
そう
おっしゃっていましたよ」
「海…ですか?」
「えぇ
海よ」
「あのぉ
海って
なんなの?」
「あら
知らないのね
無理もないはね
まだ
小さいもの
海はね
川の
水が
ひとつの
場所に
集まっている
場所の
ことなのよ」
「そうなの」
「うん
川の
水とは
違って
水は
しょっぱいけどね」
オリーブさんは
少しずつ
話す
ペースが
ゆっくりには
なっていたものの
何とか
最後まで
話し終わると
まぶたを
閉め
やさしそうな
顔で
寝てしまった