Photo/AOYAGI Kenji
久々の一人太鼓舞台、『鼓かくさず叩きます』が終わりました。
前回の一人舞台『鶏音鼓 発響(とりおとこ はっきょう)』と、演目は似ているところは多いですが、全体のテーマが違います。
『鶏音鼓』は、
「太鼓打ちがたった一人で何ができるのか、どこまで表現で魅せることができるのか?」がテーマでしたが、
今回の『鼓かくさず~』は、
「なぜ富田は太鼓打ちになったのか?淡路島で産まれた富田がなぜ佐渡島に導かれたのか?」がテーマでした。
コンサートではあっても、その物語を紡ぐ旅でありました。
『鶏音鼓』の本編では語りは一切ありませんでしたが、『鼓かくさず~』は、語りと太鼓の世界です。
包み隠さず話し、そして叩きました。
見た方は少ないと思いますが、
1995年5月から渋谷ジァンジァンで始まった『富田和明参上 太鼓物語』シリーズ(年2回開催)は、第五話までで終わっていました(渋谷ジァンジァンが閉館になったので)。
この『鼓かくさず~』は、『富田和明参上 太鼓物語』の最終章とも言える内容になっています。
一人の太鼓打ちとして独立した時に、何をしていったらよいのか探って求め綴っていた物語。
始めた時は、太鼓芸能生活18年でした。
あれから17年も過ぎていたんですね。
過去の出来事は変えることはできません。
でも伝え方や表現は一つではありません。
たくさんの物語が産まれるものだと思いました。
いつも過去を振り返っているわけではありません。
常に今何ができるのか?
もっと新しい自分らしい表現がないのか?
誰も見た事のない太鼓が叩けないのか?
と思っているわけですが、
ちょっと立ち止まって振り返って考える時、次の一歩のヒントがあるように思いました。
『鼓かくさず~』の内容をどうするのか、どうしたいのか、
考えていた悩んでいた或る日、
ふと聞こえて来たのが、
「そういや、佐渡でのうなったご先祖さんがおったな~」
という祖父の言葉でした。
ずいぶんと昔に聞いて知っていた言葉ですが、長く忘れていました。
それがこの物語に、降りて来ました。
淡路島で生まれた僕が、どうして佐渡島に導かれていったのか?
人に誘われ、太鼓に誘われ、島に誘われて行ったのです。
35年の節目にして、ようやく一つの鍵をみつけたような気がしています。
それにしても、太鼓の音って、本当に人の心の奥に入り込んできますね。
今回の公演は、ぎりぎりまで考え悩んでいたので、公演当日のアンケート用紙を作る作業のことまで気がいきませんでした。
ぜひご覧になった皆様の声をお聞きしたく思います。
よろしければ、メール、Fax(045-913-5582)でお送り下さい。
お越し頂きまして、ありがとうございました。
初日の終演後には、大吟醸「鼓かくさず叩きます」を、振る舞いました。
Photo/ビデオ記録より
二日目千秋楽・終演後には、淡路島三原の玉ねぎを、お客様全員にプレゼントしました。
Photo/ビデオ記録より