残り3000円を手に私は | 残った諭吉は未練打ち

残り3000円を手に私は

そう、話には続きがある。北斗モーニングに外れた私は、そうやすやすと帰る程物分りの良い男では無かったのだ。

残り3000円で勝負できる条件。ハイエナ、リセット狙い、純Aタイプ一発勝負等、とても厳しいが何かの間違いで幸運を掴む可能性も無くもない。だが、それこそ未練打ちになってしまうのがオチだと踏んだ私が出した選択。

それは、ハネモノである

吐き気を催す分母との戦いで、呪縛を振り切れなかった者や、低資金で大当たりを一喜一憂しながら堪能する者が好む場所、又は行き着く先である。
だが私は違う。真剣勝負でハネモノに勝ちたい。そう心に決めた私は、ホール内にあるハネモノコーナーを探す。顔を見せたラインナップは、チョロQ(デジハネ)、イヤミのここで一発の2機種のみ。おまけに客つきはナシ。
そしてここでもう一つ問題がある。私には釘が読めないのである。だが、素人でも分かる程ヘソが開いている台を見つけられれば良いのでは無いかと思い、一通り釘を見るも、どれもこれも似たりよったりな釘たちばかり。さすがにコレはと見かねた私は、店を移動する事にした。

等価交換は避けたい。だがあまりに換金率の悪い店も。ならば、6枚交換、43玉交換の店。そして、札告知等の、良心的な振る舞いがある所。これならばある程度は勝負になる筈。これらの条件に一致するホールは一件。あの店しかない。

水を得た魚。いや、そんな綺麗な物じゃなく、「少し冷静になった発情期の犬」の様な心境の私には、法定速度を守りながらも、心内は「アツく、たぎらせた思い」がある。勝利を掴むまで、燃やし続けろ。どこぞやのデンセツノオトコがそう語りかけて来るような気がした。差し掛かる信号は全て青。私は車を走らせた。

ここまでの私には、見せ場がある。常人からすれば、只のアホの一言で終わるのだが、少なくとも私はそう感じていた。

「その店が、新装入れ替えの為、定休日だった事を知るまでは」

もうすぐ逢えなくなる キミの突然の言葉 何も考えられず ただうつむいた。そんな気持ちをガソリンに変え、私は再び車を走らせた。そう、ホールへ・・・。

二件目に選択をせざる終えなかったホールは、6枚交換、43玉交換の非チェーン店。客付きも悪く、設定状況も判断できない。イベントも曖昧なものが多く、設定と言う言葉を使って営業してくるイベントは、「サクラ対戦ALL6」のみ。サクラ対戦の6は打ちたいけれど、6枚交換でサクラ対戦と言われても、正直どうなんだろうと考えてしまう。用するに、勝つ為には足を運んではならないホール。そして今日はそんなお店の定例イベント。半ばヤケクソになった私は、腹をくくって門を叩いた。

だが状況は違っていた。積んでいる。ハネモノの打ち手が箱を積んでいる。そしてその箱を流している。

私はその台をキープ。そして「ヘソ」を直視する。他の台と見比べても、若干外側に開いている気がする。どうやら私とご対面する事になった機種は「ワンワンポリス」だそうだ。

まずは、恐る恐る財布にあった500円を投入し、打ってみる。するとそれが、阿吽の呼吸で3発も役物に入る。そして投資1k、5発目に役物へ入賞した玉が何かの間違いでVゾーンへ入賞。「ワンダフル!」と言う泣き声と共に16R突入。
そして、大当たり終了後、3発の保留で16R大当たり。この流れに私はどれ程の心に癒しと興奮を与えたものか。今まで見失っていたギャンブルの何かを思いだ私は、まさに「水を得た魚」の如くVゾーンに連続入賞させる。私が「今」と思えば玉は役物に入賞し、Vゾーン目掛けて慣性ドリフトする玉。

順調な展開に私は勝利を掴みかけた。だが、そうは甘くないのがギャンブルである。ハネは開くが役物に入賞しない、入賞してもタイミングが悪くVゾーンに入賞しない。そんな展開が続き、持ち玉は序所に奪いとられてゆく。

1箱あった持ち玉も、上皿に乗せきり、泣く泣く追加投資かと思われた時、突然ドットが演出を起こした。不可解な出来事にあたふたしながら、画面では、「○と×」の抽選を行っている。そしてドット画面は、○でストップ。大当たり。
訳も分からないまま打ち出すと、気づきもしなかった所が開いている。そう、アタッカーが開いているのだ。この大当たりは2Rだったものの、ハネモノでは考えられない程のスピードで玉が出てくる。そして大当たり終了後、なんと時短に突入。このハネモノ、デジタル抽選が搭載されているようだ。

それを機に、再び流れを取り戻し、4時間粘った所で、私の後ろには3箱の持ち玉。
自分で自分を誉めたい程の成績が出た所で、そろそろ見切りをつけようかとした時に、突如、大音量でサイレンが鳴り響いた。そう、引いてしまったのである。この機種の一番の見せ所である

「デジタル16R抽選」を

両隣に座っていたご老人達、通りかかった定員もオーディエンスとなり、私の引いた「ソレ」に注目している。
もはや、当てなくてはならない状況になってしまった私は、プレッシャーを背負いながら二択のルーレットを直視する。「ここは、空気を読んでくれ」と願った矢先に停止した図柄は「7」
思わずケツが浮いてしまった。
丸々CRの大当たり一発分の出玉を獲得し、その後の時短でも16Rを引き戻してヤメ。
私はハネモノに完全勝利した。
換金額は22000円

この金は使えないな、と思った。


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