X理論、Y理論は、アメリカの経営学者マクレガーによって提唱された、管理行動を考える際の人間観である。マクレガーは、マズローの欲求5段階説を解釈して、低次の欲求に基づくX理論と、高次の欲求に基づくY理論の人間観を用いてモチベーション理論を展開した。

※人間観とは、人間をいかなる存在として認識するかを定義する主観的な価値観に基づいた視座(物事をみる立場)

 

 

1.X理論における人間観(いわゆる性悪説)

 X理論の基本となる人間観は、人は生理的欲求、安全欲求により動機付けらると考える。人間は基本的に働くことが嫌であり、いかに逃れるかを考えるもの、と考える。

 組織で例えると、「社員は強制や命令がなされなければ、目標達成のための努力はしない」と考えるもの。社員は命令されることを好み、責任は回避しようとする。また、ほとんどの社員は創意工夫をできないと考える。

 社員の衣食住や生活の安全に必要な報酬を与え、その代償として組織目標達成に向けた命令に従わせるという考え方など、いわゆるアメとムチの管理が必要という考え方。

 

2.Y理論における人間観(いわゆる性善説)

 Y理論の基本となる人間観は、人はより高次の欲求を満たすことを目指していると考える。人は基本的に働くことが嫌いではなく、自分が設定した目標のためには自ら進んで努力すると考える。目標達成意欲が高く、より自己実現の欲求に近い高次の欲求を満たすことで動機付けされると考える。

 組織で例えると、社員が進んで問題解決に取り組むために創意工夫を凝らし、ときには自ら責任を取るものと考える。

 

X理論では、報酬をはじめとした処遇などにより低次の欲求を満たして社員の動機付けとするものと考えるため、現代人の動機付けには不向きとされている。

 

一方、Y理論では、仕事そのものにやりがいなどの意義を持たせることや、「組織に在籍したい(所属愛)」などにより高次の欲求を満たして社員の動機付けとするものと考えるため、現代人の動機付けに適してといるとされる。