摩擦で演奏する楽器 | 着 想 ノート

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管理者 / 残月


強風の日に山道を抜ける時、
頭上で「 ザワザワザワーッ! 」という木々の葉が擦れ合う音がしたのですが、
その時にふと思いました。

例えば、無数の葉が擦れ合う仕組みで演奏する楽器は作れないものかなと。

イメージとしては、
沢山の小さな葉っぱみたいなパーツを取り付けた楽器とでも言えば良いのでしょうか。
自分で書いてても殆どイメージ出来ませんけれど。

同じ演奏が二度と出来ないでしょうから、「 楽譜の書けない楽器 」とも言えますね。
つまりアドリブ専用の楽器という事です。


これを実際に作るとしたら、どんな姿の楽器になるのかイメージしてみましたが、
正直、余り楽器の姿をイメージする事が出来ません。

そうですね、例えばトランペットみたいな金属の一塊の楽器で、
「 吹くと音が響きますよ 」みたいな物とかじゃなくて、
また、ピアノみたいな「 ここを叩くと この音が出る 」みたいな物でもなくて、
「 撫でると無数の音が発生して、二度と同じ音を聞く事ができない 」みたいな楽器でしょうか。

まあ・・・普通の演奏には使用できないかも知れませんがね。
やるとしても部屋で一人で孤独に演奏、みたいな。


それはそうと、
楽器の話は置いておき、冒頭の話に戻りますが。

自然が発する音には癒し効果が有る、というイメージを普通の人は持っていると思うのですが、
実際には強風の中で木々が強く擦れ合う音って、
別段「 癒しの音 」って訳じゃないと思うんですよ。
冷静に考えればね。

そよ風に揺れる木々の音、とかでしたら癒しの音と言えるかも知れませんが、
強風で木々が擦れる音となると、そういうのとは違う、もっとずっと力強い音じゃないですか?

でも実際にその場に身を置いて聞いてみると、何故かとても落ち着く音に思えたのです。

決して優しく奏でられる種類の音ではないにも拘わらず、
それなのに私の警戒心のフィルターを飛び越えて胸の中にストレートに入ってきてしまう。

心臓の鼓動の音とか、和太鼓の胸に響く音とか、
そういう人間が求めてしまう音に近い気がする。

何と言えば良いのかな。
でかい音、ではなくて、強い音、なんですよね。
強いのに優しい音。

でかい音っていうのは、例えば暴走族とかが発生させる下らない音とかの事ですよね。
暴走族の出す音は耳に煩いから私はもちろん拒絶してしまいますが、
でも和太鼓みたいな胸に響く強い音だと拒絶しないで不思議と受け入れてしまう。

変な表現かも知れませんが、
ピアノとかは耳で聞く楽器だと思うんだけど、
和太鼓の場合は胸の中で聞く楽器、のような気がするんです。

で、強風の中の木々の激しく擦れる音は後者に近いのかなと思う。
そういう意味では、この楽器はもしかしたら打楽器になるのかも知れませんね。


それにしても、こういう種類の音って、
果たして私個人が好きな音なのか、日本人全体が好きな音なのか、人類全体が好きな音なのか、
そういうデータは特に無いとは思うのですが、
人の心の中に無条件で入り込んで来る種類の音だな、と思ってちょっと記事に書いてみました。