きこえていた

ノックの音

私を呼ぶ あなたの声


傷つくことも

傷つけることも

こわかった


失うことのほうが

果てしない「日常」より

ずっと

こわかった


なのに


耳をふさいでも

私の中から

きこえる

あなたを呼ぶ 私の声




星巡る夜

あなたの手が包んだ 私の手

すべての扉の鍵が開いた音がした



呼んでいた


泣きながら

苦しみながら

ごまかしながら

転がりながら

かっこ悪く

人間らしく

自分をだまして

手を伸ばして

孤独に耐えて

愛してほしいと叫びながら

見つけてほしいと願いながら


呼びあっていた




震える手で

あなたが抱きしめた 私の心

すべての扉の鍵が砕ける音が響いた



その手をつかんで

扉をあける

ふたりの明日はそこにある