僕たちは、
それぞれの生きている場所で、毎日人に会い、笑って過ごしている。
でも、ふと思う。
僕たちは、まるで隠れて生きている存在なんじゃないかって。
夜の空から世界を見渡せば、
建物の窓の灯りが、孤独を紛らすように、ぽつんぽつんと街を照らしている。
僕たちは、まるでそんな無数の建物の窓の灯りと同じようなものじゃないか。
誰もが一度は、自分の得意なことで人生のスポットライトを浴びたいと願っている。
だけど僕たちは、無数にある建物の窓の灯りの中の、ほんの一つに過ぎない。
そしてほとんど誰にも気付かれないまま、夜が明けてしまう。
僕はそれが受け入れられなくて、何度も絶望したことがある。
僕が笑って過ごしている毎日が、実は世界の人達に何の影響も及ぼしていなくて、
本当は僕が生きていることが、毎日が、無意味なものなんじゃないかと思えてきたこともある。
とても哀しかった。
孤独を紛らすためだけに、小さな明かりを灯して、
果たしてそれが何の意味があるんだろう。
雨が降った夜は、いつもよりも窓の灯りの数が多くなる。
それは、人の寂しさの数と同じだけあって、そして同じ数だけ隠れて生きている。