いつからか
諦めることばかり、得意になって

君には
好きとすら
言えなかった

(とある同人誌?より)



今年の夏は
どうしてこんなにも早く
行き去ろうとしているのでしょう。
風の匂いはいつの間にか
秋の風情を感じさせていて。

僕はまた
益体もなくため息を吐いてしまう。

やりたいことなら
手の平いっぱいに在った筈なのに
気が付けば
何一つ。

まるで人生みたいに、何一つ。

こんな仕事をしてるからって
わけでもないとは思うんですが
いつかその日に
間に合わないんじゃないかと
ただただ不安が
拭いきれないんです。

風が冷たくなり始めたら
いつだって心がざわめいては押し寄せて
僕が何処かへいってしまう。

抱えきれない熱を
何処の誰に預けたとしても
軽くなんてなれないことは
ずっと前から知っているのに。

今日聞いた嗚咽は
きっと
いつかの嗚咽に違いない。

どうにかしたい。
どうにかしたいのに


僕は何処に向かう?
繰り返す過ちの
その果てに

(交差点:Afro☆star)


今日は僕の住む街に
太郎さんが来ていました。
他でもない、麻生さんとこのです。

正直、政治経済には疎いので、
彼の主張だとか
イデオロギーだとか
小難しいことにはまったく興味をそそられなくて
僕はまた
空を見上げていました。

同じ麻生なら
久美子の方が好きだし。(性的な意味ではなく)

竜の頭の入道雲は
これから来るだろう嵐を思い起こさせてくれました。
いつの間にか青く抜けてしまった空は
残り少ない夏を感じさせていて
僕をまた塞ぎこませる。

今年はなんにもしてないんです。
夏らしいことなんて、何も。

プールも
海も
流しそうめんも
花火だって
今年は満足に出来ないまま。

僕の夏が
僕の前を通り過ぎて行く。

ねえ、僕はどうすればよかったのかな。

思い出を作れなかった季節は
振り返ってもくれないあの人みたいで
いつまでもいつまでも
澱として残りそうで
僕の気持ちをざわつかせる。

まだ、間に合う。
間に合うはずなんだけど。

いつかまたこんな風に
間に合わない日が来るんじゃないかと
僕は不安で仕方ないんです。

その場しのぎでいい。
誰か頭を撫でながら
ただ、大丈夫だよって言ってください。

昨夜、長い付き合いの友人と

軽く三時間ほど電話していたのですが

その際に

過去の話になりました。


それは五年も六年も前の

いろんなことが折り重なって積み重なって

僕が一番駄目だった頃です。


付き合っていた彼氏を寝取られたり

それで別れたり

原因になった子を心底憎んだりで

ゲイバーから足が遠ざかっていた頃。


それでも、半年ぶりくらいに顔を出した時のことです。


何がどうなったのか

よく通ってたお店の

マスター、客の全てから総スカンをくらいまして。

突然、身に覚えのないことで責め立てられて

僕の人間性、それまでの人生や生き方の全てを否定するような

罵詈雑言を浴びせられたことがあるのです。


昨夜、数年ぶりにそれを思い出しまして

五年以上も経つのに、その時に言われたセリフを

ほぼ一言一句間違わすに正確に覚えている

自分自信の執念深さに

眩暈すらしたということです。



少しずつ大人になって

少しずつ強くなれた気がした。

悲しいことも悔しいことも飲み干して

だからこそ

今の自分があるだなんて

嘯いたりさえしていたのに。

結局僕はあの時のまま

錆びた鎖を引き摺ったままで。