行ったり来たりの微ホラーゲーム


気がつくと私は地下鉄の廊下のようなところに立っていた。
いつの間に来たんだろう。
まったく記憶がない。
そんな混乱した私の横をサラリーマン風の男性が通り過ぎていく。



とりあえず地上に向かおう。
何か思い出すかもしれない。
頭上を見上げると案内表示があった。
出口は8番なのか。



私は壁に貼られたポスターを何気なしに眺めながら8番出口を目指した。



反対側にはドアがある。
しかし、私には関係のないドアだ。



後ろを見ると、出口への案内表示の裏側が見えた。
どうやら私は地下広場にいたようだ。
そんな記憶は全くないが。



代り映えのしない通路を進むと右に折れていた。
左側通行との表示がある。
指示に従い左側を歩く私。



右に曲がると現在位置を示す表示があった。
今は0番にいるのか。
下に書かれた地名も見知らぬものだった。



そのまま通路を進むと、私の目の前に広がっているのは、先ほどと全く変わらない通路だった。
どういうことだ?
同じレイアウトなだけなのか?



いや、歩いて来る男性も見覚えがある。



困惑しながら進む私。



そして私は再び驚愕する。
現在位置を示す表示が、また0番なのだ。
ここまで一本道だったので迷っているわけではないだろう。



0番の表示を通り過ぎ、私は歩く。

やはり同じ場所だ。
このまま進めば、また0番表示が待っているのだろうか。



予想通り0番の表示があった。
まさかループしているのか?
ふと見ると、0番表示の横に、先ほどまではなかったプレートが貼られている。



『ご案内』と書かれたそれには、4つの注意書きがあった。
『異変を見逃さないこと』、『異変を見つけたら、すぐに引き返すこと』、『異変が見つからなかったら、引き返さないこと』、『8番出口から外に出ること』……
異変とはなんだ?
とにかくこれがループから抜け出す条件なのだろう。



通路を進むと、やはりそこは何度も通った道だ。
非現実的な状況なのに、私はワクワクしていた。



おや?現在位置を示す表示が1番になっている。
『ご案内』の条件通りなら、今通ってきた道は異常がなかったのだろう。



ルールはわかった。
私は楽しみながら異変を探していた。
今度の異変はこれか!
8番出口を示す表示がさかさまだ。
この場合は引き返せばいいんだな。



よし!2番通路まで来たぞ。
私の想像は正しかったのだ。



2番通路を進むと、目の前には地上へと続く階段があった。
出口は8番ではなかったのか?
あっけなく終わりを告げた『ゲーム』に拍子抜けする。



私は階段を駆け上がった。



真っ白い光に覆われる視界。
次の瞬間、私はまた地下通路に立っていた。
しまった、階段も異変だったのだ。
ルール通り8番出口から出なければいけなかったのか。



そのあと、私はそれまで以上に注意深く周りを見回していた。
しばらくはわかりやすい異変が続く。



そして5番通路までたどり着いた。
8番出口までもう少しだ。



しかし、私は異変を見逃してしまった。
再び0番まで戻されてしまった。
一回間違うだけで最初まで戻されてしまうとは。
楽しかった異変探しだったが、いつの間にかそれは不安へと変わっていた。
私は地上に出られるのだろうか。



私の前に通路をふさぐように立つ二人の男。
今まではいなかったのでこれは異変だ。



通路の先から轟音と共に迫ってくる大量の赤茶けた水。
これも異変だ。
私は流れに飲み込まれないように必死に戻った。



そして私は7番までたどり着いた。
これで出られる。
私は先を急いだ。



よし、異変は何もなさそうだ。



しかし、私の前に現れたのは0番の表示だった。
私は心が折れた。
もう二度と地上の光を見ることはできないのかもしれない。
誰か私を助けてくれ……




 


 

ポータブルゲーミングPC『steamdeck』を購入し、話題の『8番出口』をプレイしました。
このゲームはチュートリアルがなく、最初は何をすればいいのかわかりません。
ひたすらループを繰り返すだけです。
困惑し始めた頃に現れるのが『ご案内』の表示です。
これでルールは把握できましたが、どれが異変のない通路なのかはわかりません。
何度も間違いながら学習していかなくてはならないのです。
私はこれを家族と一緒にプレイしましたが、非常に盛り上がりました。
一人でプレイすると、本当に心が折れてしまうかもしれません。
今作はわざわざsteamdeckを買わずとも、パソコンで無料のsteamをダウンロードすればプレイできます。
もちろん『8番出口』を購入しなくてはいけませんが、価格はワンコイン程度です。
ぜひ一度プレイしてみてください。
 

 

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