国民的ガールフレンド、デビュー


僕の名前は歌猫ウタ。
高校2年生だ。
家庭の事情で単身、とわの市に引っ越してきた。



この街はいい所だな。
駅の近くに公園があるのか。



秋の並木道って雰囲気あるよな。
さて、そろそろ行くか。



これから住むことになる部屋は、たしかこの辺だったはずだけど。



学生らしくシンプルな部屋にしたんだっけ。
あっ、あそこだな。
まずは荷物を整理しないと。



よし、こんなもんかな。
今日からここが僕の部屋だ。
そうだ、今日は転入の手続きをしに学校まで行かないとだった。



私立『十羽野高校』
ここが僕が通うことになる学校だ。
これからの高校生活も楽しまないとな!



転入の手続きはあっさりと終わった。
となると次は、バイトだな。
駅前に行けば、何か募集してるだろ。



あったあった、求人広告。
なになに、ファミレス『デキシーズ』か。
高校生可で、待遇も良さそうだし、ここに決めた!
さっそく電話しよう。



電話だけで、すぐ採用されてしまった……



ファミレス『デキシーズ』
僕は今日からここで働くんだな。



さっそく制服に着替えたけど、やっぱり着慣れないな。



その時、「あ、いたいた。あなたが新しく入った人?」そう話しかけられた。



僕が声のした方を見ると、そこにはキレイで大人っぽい人が!



その人は『姉ヶ崎 寧々』と名乗った。
僕の指導係らしい。
1歳年上ってことは高校3年生なんだ。
大学生くらいだと思ったよ。



「これからよろしくね」
寧々さんは、そう言って微笑んだ。
このバイト、楽しくなりそうだな。



さて、それじゃあ頑張って働きますか!
といってもまだ寧々さんに教わりながらじゃないとできないな……



うーん、覚えることがたくさんあるな。
えーと寧々さんは……
寧々さんは僕以外のバイトの子からの質問に答えていた。



大変そうだな。
僕以外の面倒も一人で見てるのか。



休憩中、僕は寧々さんにそのことについて聞いてみた。
他のバイトの子たちはそれなりに長く働いているみたいだけど、何かあると寧々さんに聞いてくるらしい。



「私だって一年くらい先輩なだけなんだけど……」
そう言った寧々さんは少し寂しそうだった。



次の日、学校で寧々さんを見かけた。
寧々さんもこの学校だったっけ。



「何してるの?」
僕の問いかけに寧々さんは「先生からの頼まれごとをしているの」と答えた。



何か手伝おうかと言うと、「ううん、大したことじゃないから」と寧々さんは言った。
「でもありがと」
寧々さんにそう言われて、僕はちょっと嬉しかった。



さて、今日もバイトを頑張るか!
そう張り切っていたけれど、お客様に水をかけてしまいそうになった。



すると寧々さんが駆け寄ってきてお客様にお詫びをしてくれたんだ。
本当は僕が真っ先に謝らなくちゃいけないのに。



そしてこぼした水を片付けてくれた。
僕は寧々さんに頼りっぱなしだ。



寧々さんに謝ると、逆に励まされてしまった。
これ以上、迷惑をかけないようにしないとな。



ガッシャーーン!
その時、店の外から大きな音が聞こえてきた。
店の前で交通事故!?



お客さんも動揺し始めた。
「どうしよう……」
その様子を見て、寧々さんも困っている。



「大丈夫。今、救急車を呼んだから」
安心させるよう、僕は寧々さんにケータイを見せながら話しかけた。
咄嗟にやっちゃったけど、大丈夫だったかな?



「いい判断だよ。さすが私が見込んでいるだけあるね」
そう言われて、、僕はちょっと嬉しかった。
事故も大したことがなかったみたいだし、よかったな。



次の日の放課後、下駄箱の前で寧々さんを見かけた。
「今帰り?一緒に帰ろうよ」
僕がそう言うと、寧々さんはちょっと考えたあと、「そうしよっか」と言ってくれた。



そして僕たちは楽しく下校した。



「ふう……お疲れ様。ピーク、やっと過ぎたね」
今日はお客さんがいつも以上に多かった。
でも、なんとか回すことができた気がする。



そんな僕を見て、寧々さんは「一人前になったお祝いをしようか?」と言った。
バイト終わりに寧々さんと食事!
「行きたいです!」
僕は即答していた。



僕と寧々さんが向かったのは近所のファストフード。
本当は寧々さんのお気に入りの店に行く予定だったんだけど、その店は定休日だったんだ。
落ち込む寧々さんはいつもとちょっと違っていた。
こんなドジなところもあったんだな。



その夜、寧々さんからメールが届いた。
そう、寧々さんとアドレス交換したんだ。
初めて届いたメールを見てにやけた僕は、周りから見たらちょっと引かれるかもしれない……



さて、今日はバイトもないし、何をしようかな。
ん?あれは、寧々さん?



寧々さんがおばあちゃんと歩いている。
道案内しているようだ。



道案内が終わったらしい寧々さんに話しかけた。
やっぱり寧々さんは誰からも頼られるんだな。
僕が言うと、寧々さんは寂しそうに「ほんとはそんなにしっかりした人間じゃないのに……」とつぶやいた。



寧々さんも、たまには誰かに頼りたいんだろうか?
「疲れたら、寧々さんも誰かに頼ったらいいんじゃない?」
本当は僕に頼ってと言えればいいんだけれど、今はそんなに自信がない。
「私にそんなことを言ってくれたの、あなたが初めてかも」
寧々さんは言った。



寧々さんはデキシーズの店長からも頼られている。
今度は、新メニューのアイデアを出してほしいみたいだ。



そこで白羽の矢が立ったのが僕だった。
一緒に話題の店に行き、食事をして男子高校生の視点から意見を貰いたいという。
お出かけは次の日曜日に決まった。
一緒に出掛けるということは、これはもしかしてデートなんじゃ!?



日曜日、僕らは約束通り、一緒に食事をした。
でも、あまり参考になる意見は出せなかった……



次の土曜日、僕はあてもなく駅前をぶらぶらしていた。
あ、そういえば店長から映画の試写会のチケットを貰ったんだっけ。
せっかくだし、行ってみようかな。



映画を見終わった後、僕は後ろから声をかけられた。
あ、寧々さん。
寧々さんも店長からチケットを貰っていたみたいだ。



二人で今見た映画の感想を言い合っていると、もう一度見たいという話になった。
「だったら、二人で観ない?」
って、寧々さんが言う。
これは今度こそデートなのかも……



ある日のバイト中、僕は他のバイト仲間の女の子たちと話をしていた。
彼女たちとは同学年だから話が合って、時々話をする。
僕はそれを切なそうに見つめる寧々さんの視線には気づかなかった。



そして寧々さんとのデート(?)の日がやって来た。
映画館に入ると、寧々さんが聞いてきた。
「あの子たちとは、よく話すの?」
やっぱり寂しげだ。



「あの子たちのこと、どう思う?」
寧々さんはそう言う。



「同い年にしては少し子どもっぽいかな」
僕は素直にそう言った。



「ふうん、大人っぽい方が好みなんだ?」
安心したかのように寧々さんがつぶやいた。



その時、開演のベルが鳴った。
うん、何度見ても面白い作品だ。
ちなみにホラーだけどね。



それからしばらくして、ある日のバイト終わり。
寧々さんからのメールが届いた。
『学校の校舎裏に来てください』
それだけが書かれている。



僕は学校に向かった。
するとそこに寧々さんはいた。
そして、意を決したように話しかけてくる。
「私ね、好きな人がいたの」



年上のその人に相応しくなろうと、目一杯背伸びした結果、誰からも頼られる寧々さんになったのだという。



「でもそうじゃないの。私はただ好きな人に気に入られたいの」
寧々さんは続けた。
「好きな人にそばにいてほしいの」



「私を、あなたのそばにおいてほしいの」
僕の目をしっかりと見て、寧々さんは言った。
「あなたが好きなの」



「僕も寧々さんにそばにいてほしい」
今度は僕が寧々さんの瞳を見て言った。



「うれしい……」
照れながらも、寧々さんは本当にうれしそうだ。



「そばにいっていい?」
そんなふうに見つめられる。
断れるはずがない。



「ずっと、こうしたかった」



そして僕たちはキスをした。



「……したくなっちゃった」
え、な、なにを!?



そして僕たちは一緒に歩き始めた。



「私のこと、そばにおいてくれてありがとう」
これからも寧々さんと一緒に歩いて行こう。
そう、僕たちの物語は始まったばかりなのだから。




 


 

気になっていた作品ではあったのですが、発売当初はプレイすることができなかったんです。
なんか気恥ずかしいというか、むなしくなるというか……
でも、今ならプレイできます。
さて、告白されることでクリアとなった『ときメモ』などとは違い、恋人になった後も話が続きます。
付き合いだしてからがスタートだと言ってもいいかもしれません。
今回のプレイでは寧々さんと付き合うことになりましたが、今作には他に二人の魅力的な女の子が登場します。
セーブデータも3つ作れるので、それぞれ攻略することも可能です。
しかし、寧々さんを裏切ることはできないよな……
はっ、これが恋なのか!?

 

 

【今回紹介したソフト】

 

 

 

 

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