ダンジョン探索はヒロイン(多数)と共に



かつてこの大地に『神』と『ヒト』、そして異界からやってきた悪しき神『魔神』が入り乱れていた時代があった。
人々は聖乙女ヴィトーリアの旗の下、魔神の手先となり働く精霊『マモノ』との戦いを長きにわたり繰り広げてきた。



――神暦395年
始祖なる錬金術師ジーグドラドにより、マモノを封印書の内に封じる封印術が編み出された。



この封印魔法を操る者は『ライブラ』と呼ばれ、マモノ討伐において絶大な成果を上げた。
彼らの活躍によりマモノの生息数は激減し、ついには魔神さえも異界の彼方に葬った。



世界がヒトの秩序で動き始めたのだ。
そして記念すべき王歴1年。
ヴィートリアは人の手による大陸統一を成し遂げ、ロムレア王国初代女王として即位したのであった。



そして、時は流れ王歴499年――


「フリード・ラインベルト!ここにいるの?」
俺を呼ぶ声が聞こえる。
いや、おそらく俺を呼んでいるんだろう。



俺の名前はフリード・アインハルト。この王立図書館に配属されたばかりのライブラだ。



人の名前を覚えることが致命的に苦手であろう女性が、王立図書館館長のイリーナ・ローゼンマイアだ。



イリーナ館長が言うには、ダンジョン探索を行っていた騎士団からライブラをよこしてほしいという連絡が入ったそうだ。
なんでも騎士団と一緒に探索を行っていたライブラが負傷しまったのだという。
ダンジョン探索にはマモノを封印できるライブラが必要不可欠だ。



書架の整理ばかりじゃ飽きてきたところだ。
俺は急ぎダンジョンへと向かった。



勇んでダンジョンに突入したはいいが、入った途端、大きな揺れが俺を襲った。
振り返ると通ってきたはずの道は巨大な岩で塞がれてしまっている。
まいったな。



ライブラである俺は戦闘スキルを持っていない。
早く騎士団と合流しなくては。



なのに揺れは頻発する。
さっきからなんなんだよいったい。



「だれかー!」
「誰かいませんかー?」
こんなダンジョンに似つかわしくない若い女性の声が聞こえてきた。
二人いるようだ。
もしかして騎士団か?



「ここだー」
向こうから駆け寄ってくる人影に思い切り手を振ったとき、まだ大きな揺れが起こった。
落盤だ!



「危ない、伏せろ!」
土煙のなか、二人の手を引き、押し倒すように大きな岩陰に転がり込む。



「二人とも大丈夫か!」
俺がそう呼びかけると、驚きの声が上がった。
「フ、フリードぉ!?どうしてここに!?」
「アリシア、メルヴィ!?お前らこそ……」
目の前にある二人の顔は、どう見ても見慣れた幼馴染のものだった。



『メルヴィ・ド・フロレンシア』
士官学校の予科時代の同級生だ。



『アリシア・ハート』
同じく予科時代からの腐れ縁。
端的に言うと能天気な単細胞だ。



二人は士官学校卒業後に無事、騎士団警備隊に入ることができたらしい。
「やっぱりお前らが合流予定のメンバーか。で、ここでの任務の内容は?」


俺が問いかけるとメルヴィが言った。
「さっきから続いている地鳴りの発生源が、この奥みたいなの。だから、一番奥まで行って、様子を見て来いって……」



そんなことを言っていたら、目の前に半透明のゼリーに包まれたマモノが現れた!
スラピョンだ。



俺はライブラの書をスラピョンに向けかざし、詠唱を始める。
するとスラピョンは青白い光を放ち始めた。



ばさばさとページがめくられ、まっさらな1ページに光が吸い込まれていく。
やがて光が吸い尽くされると、分厚い革の表紙が自然にぱたりと閉じた。
「ふう。これで封印完了だ」



俺たちはマモノを封印しながら奥を目指した。



ん?なんだあの扉は?
向こう側から強い気配を感じるぞ。



俺たちは注意しながら扉を開け、中に入った。
するとアリシアが何かに気づく。



洞窟の奥に、石造りの小さな祠が安置されている。
扉には護符がいくつも貼られていて、固く封印されているようだ。



詳しく調べようとしたとき、また地鳴りが起こった。
「祠が壊れちゃう!」



「くそっ、まずい」
次の瞬間、マモノが飛び出してきた。
それは見たこともないマモノだった。
「図鑑には載っていない…変異種か!?」



「だとしたら、とんでもなく貴重なサンプルだぞ。絶っっ対、逃がさねえ!」
俺はアリシアとメルヴィに指示し、マモノを攻撃。
弱らせることに成功した。



そしてライブラの書を開き、マモノを封印した。



「そうだ、祠は!?」
「な、なに!?ガタガタ言っているよ?」



不意に冷たい風が吹き渡る。
体中が総毛立つほどの凶悪な気配があたりに立ち込めた。



「危ない、伏せろ!」
「マ、マモノ?」
飛び出してきた何かは、一瞬で気配を消してしまった。



しかし、嫌な予感がする。
「だめだ、これ以上は危ない。脱出するぞ」
俺たちはダンジョンから抜け出した。



図書館に戻り、館長に事の次第を報告すると、館長は険しい表情で言った。
「変異種の出現。嵐に地鳴り、壊れた祠……、この国に異変が起きているのは確かなようね」


そして館長は俺たちを見て、次の任務を指示した。
そこは王都の東にあるアバディーン遺跡。
マモノが大量発生し、地鳴りも続いているらしい。



そこで俺たちを待ち受けていたのは、怪しい少女……



恐ろしいマモノ……



そして敵か味方かわからない、謎の女性……



「でも、なんでみんなえっちぃの?」
アリシアがつぶやく。
「フリードは見ちゃダメ!」
メルヴィが俺の目をふさぐ。
……俺たちの探索は始まったばかり。


 


 

今作は同じくPSPで発売された『ToHeart2 ダンジョントラベラーズ』の続編です。
『ToHeart2』のキャラクターを使用した前作とは異なり、新たな世界設定やオリジナルキャラクターとなっています。
ジャンルは3DダンジョンRPGで、意外と本格的です。
記事を読んでいただければわかる通り、適度に「えっちぃ」ので、家族の前でのプレイは推奨できません。
3DダンジョンRPGって好きなんですが、今作は特性上プレイする場所が限られてしまうのが残念でした。
 

 

 

【今回紹介したソフト】

 

 

 

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