ローン返済の物語



ボクはウタ。
電車に揺られながら旅をしている。
周りに見知った顔はいない。
一人旅だ。



隣の車両から入ってきたネコが、ボクを見つけると走り寄ってきた。
見知らぬネコだ。



席はたくさん空いているのに、なぜかボクの前に腰かけた。
そして話しかけてくる。



馴れ馴れしいなと思いつつも、ボクは見知らぬネコの問いかけに応えていた。
どこへ行くのかだって?



それは『しむら』さ。
小さな村だが良い所だと聞いている。



そんな村に憧れて引っ越しするところだ。



しかし、住む家はまだ決まっていない。



それを聞くと、見知らぬネコは知り合いの商人を紹介してくれた。
建てた家が売れずに困っているらしい。
安く売ってくれると言っている。
それは助かるな。



そしてボクは見知らぬネコに別れを告げると、一人電車から新天地へと降り立った。



ここからボクの新たな生活が始まるのか。
そんなことを考えていると、たぬきに話しかけられた。
この村で店を開いている『たぬきち』と言うらしい。



見知らぬネコの言っていた商人とは、たぬきちの事らしかった。
ボクはたぬきちに連れられ、家が建ち並ぶ地域へとやってきた。
この中から好きな家を選んでいいようだ。



ボクは一目見て、赤い屋根の家が気になった。
内装も悪くない。
ボク好みだ。



ここにしよう。
たぬきちに伝えると、家の代金として19,800ベルを求められた。



19,800ベルか……
安く売ってくれるとのことだったが結構するな。
ボクは全財産の入ったベル袋をそっと差し出す。



それを受け取ったたぬきちは袋の中身を確認した。
そして叫ぶ。
「ぜんぜん足りな~い」と。
そう、ボクは1,000ベルしか持ち合わせがなかったんだ。



困ったたぬきちは自分の店でアルバイトをして返済してはどうかと持ち掛けてきた。
ボクに断る権利はない。



さっそく店に向かい作業着に着替えたボクに、たぬきちは最初の仕事を指示した。
店の周りに花や木を植えてほしいという。



そんなの簡単だ。
ボクは花の種や苗木を受け取ると店を飛び出した。
そして小さな池の片隅に花を植えていった。



あっという間に植え終わったぞ。
たぬきちに仕事を終えたことを伝えると、なんと今の仕事のバイト代は80ベルだと言う。
安い、安すぎる。



しかもすぐに返済に充てられてしまい、ボクの下には1ベルも来なかった。



それでも仕事はしっかりとこなしたので、少し休憩をくれると言う。
この時間を使って村の住民たちに挨拶をしてこよう。
挨拶は大事だ。



ボクは村中を駆け回り、手当たり次第に挨拶した。



しかし住民たちはみな眠そうだ。
それもそのはず、ボクがこの村に到着したのは真夜中だった。
そんな時間に訪ねたのだから眠そうなのはしょうがない。
時には怒られもした。



休憩時間も終わり、次の仕事は家具の配達だった。



また怒られてしまうんじゃないかとドキドキしながら配達先に向かった。
しかし配達に向かった先で、逆に引っ越し祝いを貰うことができた。
これはうれしい。
殺風景な部屋だったから、あとで飾ってみよう。



配達は無事に終わった。
たぬきちに報告するとアルバイト料は230ベルだった。



次の仕事はダイレクトメールの発送だった。
特売のお知らせをするらしい。



ボクはさっそく手紙を書いた。
この村の名前を入れた、ちょっとウィットに富んだ手紙が書けたと思う。



それからもオノやじゅうたんの配達に、掲示板への書き込みなどたくさんの仕事をした。
そうして、たぬきちからの依頼はすべて完了したんだ。



これまでのアルバイト代は1,400ベルだった。
それを差し引いて残りはあと17,400ベル。
まだまだ先は長い。



でも、とりあえずアルバイトは終了。
これからは自分でお金を稼ぐ手段を見つけないとだ。



お金になる事なら何でもやった。
ゴミ捨て場で使えそうなものを拾って売ったりした。



村の中になっていたサクランボも勝手に収穫して売った。



たぬきちの店でスコップを買って穴掘りもした。
時々出てくるハニワは828ベルで買い取ってもらえる。



お金が埋まっていることもある。
誰のものか知らないが頂いておくことにした。



お金稼ぎだけじゃない。
雑草抜きもした。
村が綺麗だと気持ちいいじゃないか。



村を訪れていたファッションデザイナーの車を磨いたりもした。
ご褒美に素敵な服を貰えるからだ。



ボクは再びお金稼ぎに戻った。
今度は昆虫採集だ。
これが意外と難しい。



そうして借金はすべて返し終わったんだ。
やったね。



たぬきちの店を訪れると、今度は家を広くしないかと持ち掛けられた。
そういえばちょっと手狭だなと思っていたところだ。
ボクは改築を依頼した。



そしてまた借金をしたんだ。
ボクのローン地獄はまだ終わらない。




 


 

大人気ローン返済ゲームの第一作です。
借金を返し終わると、また新たな借金が発生。
返済期限がないのが救いです。
今作はゲーム開始時に日時を入力します。
現実世界と同じ時間が流れるんです。
冬場は高く売れる虫が少ないため、お金稼ぎは大変です。
夏ならカブトムシやクワガタ採集でウハウハなんですけどね。
何にしろ、昆虫採集で大金を稼ぐのが難しい現実世界では、借金のし過ぎには気を付けたいものです。


【今回紹介したソフト】

 



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