毎日が、宝石だった。



昭和50年8月1日。



ボクはボク。
本当の名前は他にあるけれど、みんなは「ボクくん」ってボクの事を呼ぶ。
だからボクはボク。



ボクは今、船に一人で乗っている。
お母さんがもうすぐ赤ちゃんを産むから、夏休みの間、親戚のおじさんの所に預けられることになったんだ。



船の中でボクは知らないお姉ちゃんに話しかけられた。
お姉ちゃんはボクがこれから行く島「富海(ふみ)」に住んでいるんだって。
でも普段は島外の高校に通っているから、夏休みの間だけ島に戻って来たみたい。



話をしているうちに仲良くなったボクたちは、島でも遊ぶ約束をしたんだ。



富海の町が見えてきた。



ボクたちを乗せた船はゆっくりと港に向かっていく。



ボクはさんさんと照り付ける太陽に向かって手をかざしてみた。
これから始まる長い夏休み。
ボクは楽しみでワクワクしたんだ。



小さな小さな港に着くと、そこにはおじさんたちが待っていてくれた。



いとこのタケシくんとシゲルくんも一緒だった。
タケシくんは小学5年生、シゲルくんはボクの一つ下の小学2年生。
何年も会っていないから、二人の事をボクはほとんど覚えていなかった。
でも仲良くなれそうな気がするよ。



おじさんは島で茜ハウスという民宿を経営している。



その一部屋をボクの部屋として貸してくれた。



一番いい風が入ってくる部屋なんだって。
ついでに、食堂で作っているごはんの匂いもね。
なんだかお腹が空きそうな部屋だなあ。



もうすぐ晩御飯になるから、それまでの間、家の周りを探検しよう。
そう思って部屋を出ると、「書けない、書けない」って言いながら廊下をウロウロするお姉さんと出会った。



お姉さんの名前は「月夜野すみれ」、略して「つみれ」って言うんだって。



つみれさんはマスコミから逃げているみたい。
何をしている人なんだろ。



つみれさんの部屋はボクの隣。
カンヅメ部屋に押し込められた19歳の小説家なんだって。



部屋の中に招待してくれたけど、なんだかすごく散らかっていた。
見なかったことにしてあげよう。



「みんな、ご飯よ~」
おばさんの声が聞こえてきた。



ご飯は民宿と外廊下でつながっている海の家で食べるんだ。
冬はちょっと寒いみたい。



今夜の献立はカレーライス。
ボクの大好きなメニューだ。
いっただきまーす。



みんなとワイワイ話しながらの食事はとっても楽しかった。
気が付くと辺りはすっかり日が落ちていたんだ。



ボクが部屋に帰ると、机の上になにか置かれていた。



それはプラモデルの箱。



でも、箱の中にはなぜか昆虫採集セットが入っていた…



気になるけど、今日はもう寝よう。
あ、でもその前に日記を書いておかなくちゃ。



おやすみなさーい。
こうして1日目はあっという間に終わったんだ。



夏休み2日目。
朝のラジオ体操で1日が始まるよ。



朝ご飯を食べ終わったら、船の中で会ったお姉ちゃん(靖子さんっていうらしい)がやって来た。



そうだった、島でも会おうって約束してたんだった。
今日は、お姉ちゃんの家に案内してくれるんだって。



お姉ちゃんちは公園の上のまあるい屋根の家だった。
まるで天文台みたい。



お姉ちゃんの部屋は日当たりが良くて、とってもおしゃれな感じ。



それからボクたちはいろんな話をした。
家族の事、お姉ちゃんの妹の菜園のこと。
あっという間に時間は過ぎた。
いつでも遊びに来ていいよって言われたから、また今度遊びに来よっと。



そうだ、昆虫採集をしようかな。
あの昆虫採集セットはタケシくんが昔使っていた物なんだって。
今は使っていないから貸してくれたんだ。

虫取り網を「えいやっ」と思いっきり振って…



やった!
ちょうちょを捕まえたぞ。



ボクが虫取りをしていると、今度はおじさんが釣り竿を貸してくれた。



堤防で釣ってみよう。



なかなか釣れないな。
あ、引いてる引いてる。
小さなシロギスを釣り上げた!
初めてにしては上出来上出来。



釣りに夢中になっていたら、あっという間に晩御飯の時間になった。



晩御飯の話題はやっぱり釣りの事。
大きな魚を釣ってみたいな。



そうして1日が終わった。



次の日、海の家の近くで女の子の声が聞こえてきた。



二人は姉妹で、どっちが美人か言い争っていたみたい。



ボクがなんとなく見ていると、二人に見つかっちゃった。



お姉さんのチョコちゃんは中学1年生で、妹のカコちゃんは小学5年生なんだって。
ボクより年上だ。
なぜか、どちらが魅力的かボクが決めることになっちゃった。



そのために夏休みの間に7つの宿題を出すんだって。



最初の宿題は、公園の中に隠された二人の宝物を探すこと。
どちらの宝物を見つけたかで勝敗をつけるんだ。



ボクは遊具で遊んだりもしたけれど、なんとか二人の宝物を見つけることができたんだ。
2つとも見つけたから、勝負は引き分けなんだって。



こんな宿題があと6回も出されるのか。
でもなんだか楽しみだぞ。



ボクの夏休みはまだ始まったばかり。
明日はどんな事が起こるんだろ。


 


 

昆虫採集に釣りと、宿題そっちのけで遊びまわったあの夏の日。
そうそう、夜の森で度胸試しもしたっけ。
木に蜜を塗ってカブトムシやクワガタを採ったりしたな。
そんな夏休みを思い出させてくれる作品です。
最終日に宿題に追われたのもいい思い出です。

 

 

【今回紹介したソフト】

 

 

 

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