(注意)今記事では事件の核心部分について書いています。

花びらに記された文字が犯人へと導く



4月15日 京都 龍安寺
ゲームデザイナーのウタは新作ゲーム「京都龍の寺殺人事件」の発表のためゲームの舞台となった龍安寺へと来ていた。



門前とは打って変わって静かな境内。
掃き集められた桜の花びらがピンクの山を作っている。



その花びらの中から人の足が見えた。



誰かのイタズラだと思ったウタが花びらをどけてみると、そこには女性の死体が。
この龍の寺の事件を皮切りに、凄惨な連続殺人が始まろうとしていた。




突然のことに戸惑うウタ。
異変を感じた周囲の人たちが集まってくる。
その人ごみをかき分けて一人の外国人女性がウタのそばへと歩み寄った。
その女性の名はキャサリン。



死体を前にしても臆することはないキャサリンはその死体を調べ始めた。
すると手に何かを握っていることに気付く。
どうやら桜の花びらの様だ。
6枚の花びらにはそれぞれひらがなが書かれていた。



そこへ警察が駆け付けてきた。
狩矢と名乗ったその警部はキャサリンと顔見知りの様だ。



第一発見者であるウタは、府警本部で事情徴収を受けていた。
しかしウタには思い当たる節はない。
その日はそれで解放された。



自宅に帰って来たウタは、こっそり撮影してきた死体の手元の写真を確認する。
6枚の花びらには「お・な・み・わ・こ・さ」と書かれている。
死んだ女性は何を伝えようとしていたのだろう。



ウタはキャサリンのもとを訪ねた。
なにかあれば訪ねてくるようにと言われていたのだ。
キャサリンは被害者の身元について調べていた。
被害者は尾沢百合子。
嵯峨野にある尾沢家という古い家の養女だという。



ウタは成り行きで、この事件を調べることになってしまった。
ただのゲームデザイナーなのに。



花びらの文字はダイイングメッセージではないかというキャサリン。
ウタは自宅に帰り花びらについて考えてみた。
文字を並び替えてみると「おさわ」という名字が作れることに気が付いた。
しかしそれ以上はなにも思いつかない。
明日、尾沢家を訪ねてみよう。



翌日、ウタは尾沢家を訪問していた。
そこで現当主のフジに話を聞くことができた。
フジは資産家であり、その財産を三人の養女に残そうとしていたらしい。



尾沢家の養女はあと二人おり、菜美子と美那子というらしい。



それ以外に居候の尾沢皆男という男もいるという。



尾沢家からの帰り、ウタは府警本部を訪ねていた。
そこで狩矢から百合子には小波佐和男をいう恋人がいたことを聞かされる。



さっそく小波のもとを訪ねるウタ。
佐和男が言うにはすでに百合子とは別れたらしい。



今の恋人は三沢直子という女性だった。
しかし事件とは関係なさそうだ。



捜査に行き詰まったウタは再びキャサリンのもとを訪ねた。
キャサリンは花びらの文字は犯人の名前を現しているのではないかという。


そうかアナグラムか。
ウタは文字を並び替えてみた。
尾沢菜美子(おさわなみこ)
尾沢美那子(おさわみなこ)
尾沢皆男(おさわみなお)
小波佐和男(こなみさわお)
三沢直子(みさわなおこ)
なんと、ほとんどの関係者が該当してしまった。
捜査は振り出しに戻ってしまった。


ウタは別の方向から捜査を進めることにする。
それはウタの作ったゲームだ。
ゲームでは第1の殺人は龍安寺で起きている。
今回の事件と同じだ。
次の殺人事件の現場は天龍寺。
三玄院、善峯寺、相国寺と続いていく連続殺人という設定だ。



翌日、ウタは天龍寺へとやって来た。
なにかヒントがあるかもしれないと思ったからだ。



そこでウタは二人目となる犠牲者を発見してしまう。



殺されたのは尾沢美那子。
尾沢家の養女の一人だ。



事件はそれだけで終わらなかった。
三玄院で三沢直子の、善峯寺で小波佐和男の死体が見つかったのだ。
三人は同じ毒物で殺害されていた。
同一人物による犯行なのだろうか。



もう一度、尾沢家について調べる必要がありそうだ。
するとフジには本当の子どもがいたらしいことが判明する。



調べていくうちに、直子は三沢家の本当の子どもではないことが分かった。
20年以上前に近くの神社に捨てられていたのを三沢家で引き取っていたのだ。



なにか気になる。
ウタはフジに子どものことについて問いただした。
すると20年ほど前に神社に子どもを捨ててしまったのだという。



直子はフジの本当の子どもだった。
犯人はそれを知っていて直子を殺害したのだろうか。
そうだとしたら目的はやはり尾沢家の財産なのか。



すると佐和男はそのことを知っていた可能性が出てきた。
直子と結婚することで尾沢家の財産を手に入れようとしていたのではないだろうか。



そうなると邪魔になるのは財産が相続される予定の三人の養女だ。
佐和男は美那子を呼び出した。
もちろん美那子を殺害するためだ。



しかしそこへもう一人の人物が現れた。
その人物によって三人は殺されたのではないだろうか。



財産を相続できる人物は残り一人。
そう菜美子だ。
菜美子が怪しいと睨んだウタだったが、その菜美子も襲われてしまう。
場所はそう、相国寺だ。
これもゲームの通りである。
襲われた菜美子は無事だったが、ショックで寝込んでしまったようだ。



ここでウタは財産を相続できる人物はもう一人いたことに思い至る。
尾沢皆男だ。
三人の養女がいなくなれば皆男に財産が入るのではないだろうか。
皆男に話を聞く必要がありそうだ。



そんな時、体調をくずしていたフジが亡くなってしまう。
ウタは尾沢家へと急いだ。



しかし皆男は自室で死体となって発見された。
狩矢警部は自殺の可能性が高いと言う。



菜美子を殺すことに失敗した皆男。
フジが亡くなったことで財産は菜美子のものとなる。
そうなると皆男は財産を手に入れることができなくなってしまった。



後に残るのは殺人犯という名前だけ。
それで皆男は死を選んだ。
しかしウタは腑に落ちない。
なにか裏がある気がする。



ウタは皆男の周辺を洗いなおすことにした。
すると皆男の勤め先で、皆男がもうすぐ結婚する予定だったと聞かされる。
相手は菜美子だという。



ウタは手掛かりを求めて皆男の部屋を調べた。
するとタンスの奥に隠されたカセットテープを発見する。



そのカセットテープを再生すると、皆男と菜美子の声が聞こえてきた。
皆男は言う。
これまでの被害者たちを殺したのは菜美子なのだろうと。



それを知られたくなければ自分と結婚しろと言っている。
これは決定的な証拠だ。



それを突き付けられた菜美子はすべての殺人は自分の犯行だと認めたのだった。



事件は解決した。
ウタは事件の発端となった龍安寺を訪れていた。
そこにはキャサリンの姿もある。
二人は散り始めた桜をいつまでも見つめていた。




 


 

今作は山村美紗原作のミステリーアドベンチャーです。
今回の記事では省いていますが、殺害の動機は財産だけではありません。
ある人物への愛憎がきっかけとなっています。

さて、記事の中では主人公のウタが解決に貢献しているかのように書きましたが、実際はキャサリンに誘導されていました。
密室トリックなどもキャサリンに言われるままに解いています。
さらに最後の証拠品であるカセットテープも狩矢警部に取り上げられ、犯人を告発するいいところを奪われてしまいました。
キャサリンや狩矢警部は山村美紗作品の常連なので仕方ないのかもしれませんが、もう少し主人公を活躍させてあげてもいいのではと感じました。

 

 

(関連記事)

 

 

【今回紹介したソフト】

 

 

★レトロゲームプレイ日記一覧 ~ファミコン~ >>