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閉店SALEがそんなに長いわけがない

タイトルとは無関係の極私的読書感想文

それほど苛烈ではなかったにせよ、誰が見ても間違いのない「いじめ」を経験したボクにとっては、その描写は痛々しいことこの上ないものでした。そしてそれを彼がどう消化するのか(乗り越える、ではありません。そんなにみんなが強いわけではありません)、気になって読み進めたのですが・・・。

そもそも理屈で説明できない行為にどんな言葉を付与してみたところで、それは説明のための説明でしかありません。文字通り理由なき暴力の前には、嵐を待つ人と同じような心境になることがあるのです。

しかし、待つことを止めて嵐に飛び出していくことは逃げることとは違う、というのがボクの想いです。その場に留まり、強制を甘受することが「強さ」だとは必ずしも言えないと思うのです。

そうした意味で主人公の最終選択はあっけないとも言えるけど、それによって幹の太い強さを得たのだから、良かったのではないでしょうか。

ヘヴン/川上 未映子

奥付を見て気づいたのですが、購入から3年以上の月日が経過したということ。何度も挫折しながら、今回やっと読み終えることができました。

第二次大戦終結後のニュルンベルク裁判の過程で、被告や証人として軍部やナチ党関係者が、精神分析医である筆者のインタビューを受けています。内部からの証言には保身のための責任転嫁や虚偽と見られる箇所もあるので割り引いて考える必要があるとは思いますが、それでも貴重な告白であることには違いありません。

とりわけ、強制収容所関係者の淡々とした証言には、今更ながら戦慄を覚えるものがあります。

インタビュー形式であることが、真に迫る力を産み出していると思う一方で、それぞれは断章であるがゆえに、歴史の構造をある程度把握していないと大変難しい一冊であると言えます。上下なんで二冊ですかね。

ニュルンベルク・インタビュー 上/レオン ゴールデンソーン


ニュルンベルク・インタビュー 下/レオン ゴールデンソーン
心の内奥を繊細に切り取る描写で、映画監督として評価を受けていた著者ですが、小説でも次々と著名な賞にノミネートされ注目されているようです。

映画原作のように見せかけて、読後感は全く別物というか、だいぶ異なる感じを受けるのが著者の特徴のような気がしますが、今回は映画(ディアドクター)を見ていないので、果たしてどうなのでしょうか。

文字通りの僻地に暮らすひとびとと、都会にいながら僻地のような気持ちの孤立を抱えて生きるひとびとと、そういう寂しさが漂っていますが、どこかしら前に向いた、開けた心が伝わってきます。

『きのうの神さま』ポプラ社/西川美和