『君は天皇を見たか』児玉隆也 | 閉店SALEがそんなに長いわけがない

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タイトルとは無関係の極私的読書感想文

戦後世代で昭和の晩年生まれのボクにとって「天皇陛下」とは、丸メガネで猫背でどじょうみたいな顔のおじいちゃん、でしかない。

特別恨みもないけれど、だからといって過剰な敬愛の念もない。年上の方を大事にしよう、とかせいぜいその程度の思いしか持っていなかったように思う。

この本は、そうした天皇に遠いボクら世代とは違う、「テンノウヘイカバンザイ」を唱えた世代への聞き書きを中心に、外側から天皇(ここで言う天皇とは昭和天皇のこと)浮き彫りにしてみよう、という試みだ。

ところが、軍人や海外メディア、さらには侍従の言葉を重ねて見ても、やっぱり「天皇陛下」とは、何者であるのかはよくわからない。

為政者としての実効的な権力を持っている訳でもなく、軍馬に跨がって戦場を疾駆した訳でもない。現人神であった時代には、その姿ですらほとんどみることができず、御簾の向こう側にいる存在。

それが、あのおじいちゃんだったとは、どうにも結びつかない。

なにしろ、本人の言が残されていない。残されていた、と称する側近メモが見つかったりもしたけど、どうにもうさん臭い。

実際のところ昭和天皇があの時、あの場面で何を想っていたのか。

太平洋戦争をめぐる作品には色々あるけど、登場人物として、主役級の重要人物である昭和天皇のことを、なんだかよくわからないままに歴史の彼方に放り込んでしまってよいのだろうか。

『君は天皇を見たか テンノウヘイカバンザイの現場検証』児玉隆也