『復讐するは我にあり(下)』佐木隆三70日以上も全国各地を逃亡し、日本の警察を翻弄しまくった榎津だったが、最後はなんともあっけなく捕まってしまう。と、まあこのへんまではありがちなノンフィクションノベルで、しかも若干読みづらい書き方が気になって仕方なかった。ところが、話の本筋にほとんど絡んでこなかった人物が突如登場する一章だけは、榎津の心象風景を巧みに盛り込んだ描写で、ほんの少しだけ気持ちを揺さぶられるような感じがした。法廷の場面がやたら緻密でなんだろなあ、と思ったが、そうだこの本は佐木隆三作品だった、と思い出して納得。