今年8月亡くなったロシア文学界の巨星アレクサンドル・イサーエヴィチ・ソルジェニーツィンの代表作だそうです。
だそうです、というのは、このニュースを聞くまでソルジェニーツィンのことを名前ぐらいしか知らなかったからです。ドストエフスキーとかトルストイとか、ロシア文学の作家は名前が著名なのにもかかわらず、これまでほとんど読んだことがありませんでした。なんたって物語が長いし、難解なもんでね。
ソルジェニーツィンにしても、「収容所群島」シリーズは6冊を数える大部なので、読むには覚悟がいりそうです。
ところで、本作はソルジェニーツィンの初期の傑作と呼ばれ、薄くて読みやすいです。
スターリン政権下のソビエトで、強制収容所に囚われた若き日のソルジェニーツィンの実体験をベースに書かれています。
朝起きてから眠るまで、のまさに一日を仔細に書き綴ったものですが、これはある特別な一日のことではなくて、この本とほぼ変わらぬ日々が十年近くに及びます。言い換えるなら、この本は収容所生活の、一日であり毎日である、といっても良いでしょう。
そこはかとなく幸福感やほのぼのした雰囲気を漂わせる文体は、「塀の中の懲りない・・・・」を連想しないこともないです。
そのほのぼのした文章の裏に潜む苦しみや怒りなどは、あまり表面化することはありません。この作品が発表された時代が、それを許さなかったのではないでしょうか。
イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫)/ソルジェニーツィン