大野さんは…
俺の、独占欲を。
そんな風に、捉えてくれたんだね。
…そう。
そうなんだよ。
一番最初より、一番最後。
最後の最後の終わりの時に…
俺は、大野さんのそばにいたい。
ホント、そう思ったんだ。
どこへ行っても、だれといても。
最後に帰るのは俺んとこ。
大野さんの最後は…
最後だけは、俺に欲しい。
そんな風に、思ったんだよな…
ほら、紅白だってさ?
トップバッターももちろん大役だけれども。
なんといってもやっぱ…
大トリ、だろ?
智「だから…」
「俺もさ?」
「おまえの最後」
「最後の最後に、なりてぇの」
「それこそ…」
「日付変更線の、一番近く」
「大切な日の、最後の最後を」
智「んでさ?」
「人生の…」
「鼓動が止まる、最後の最後も」
「…おまえと、なんて…」
「…そんなさぁ」
「柄にもねーこと、思っちゃってんだよ、俺」
甘すぎる…
大野さんの告白。
俺は、自分の臍の前で組まれてる…
大好きな手に、自分の手を重ねた。
智「…まぁでもおまえもさ?」
「今は頑張んなきゃいけねー時だって…」
「さすがに俺でもわかるから」
「おまえは無理でも」
「せめて…」
「俺だけでも、あそこに立って…」
「おまえの誕生日の、最後の最後を」
「俺のもんに、したかったんだ」
智「…かず、こっち向いて?」
素直にくるり、と…
寝返りを打って、大野さんと向き合う。
大野さんは、俺の髪を、優しく撫でて…
智「…遅くなったけど…」
「誕生日、おめでと…」
そう言った。
この間も、その前もずっと…
直視できなかった、甘い視線。
俺は真っ直ぐに受け止めた。
和「ばか」
「遅い…」
「遅刻」
「大遅刻」
「それこそ最遅だし…」
ふふっと二人、笑い合う。
自然とおでこがくっついた。
*明日、最終話です!