大宮BL小説です。

閲覧ご注意ください。




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…どんな魔法?

….どんな呪文?



一体何を使ってこんな…

時を戻す、みたいなこと…





不意に浮かんだのは…


子どもの頃に見た、ドラえもんの秘密道具の

「タイムカメラ」


歴史上の人物や、当時の風景といった…
遡った過去を撮影できるカメラ。


そのカメラでも使ったかのように。

俺の過ぎ去った誕生日を、捕まえて…
写真に刻んだ大野さん。



いよいよ大野さんもお休みしてる間に…


仙人どころか…
ドラえもんになってしまったのかも、しれない。







和「…てかアンタ…」

「一体どこにいんの…」



そのあとすぐにかかってきたLINE電話で…
開口一番、俺はそう聞いた。



智『えーっと…』



大野さんは、拍子抜けするほどいつも通りの声で…
俺の質問に答えた。



智『…ニウエ?』



和「……は?」



智『え、ウエニ、だったか?』

『あ、いや、エニウ?』



智『…とにかくまぁ、そんなとこ』



和「…………はぁ?」




俺の誕生日を華麗に巻き戻した…
ドラえもんの大野さんは。

到底質問の答えとは思えないような…
わけのわからない呪文を唱える。


俺は思わず、呆れた声をあげた。









聞いてみれば…



大野さんは別にドラえもんになれたわけでもなく。

もちろんだけど…
魔法には秘密があった。



彼が今いる場所…


そこは世界で一番遅く日付が変わる場所、らしい。



慌てて調べる。


美しい珊瑚礁が一面に広がる…
コバルトブルーの海。



和「…ニウエ…」



そこはまるで…
天国みたいな、場所だった。