ふと意識が戻る。
パチパチ…と瞬きを繰り返す。
何も見えない。
驚いて飛び起きる。
辺りは真っ暗だった。
大野さんが日頃使っているタオルケットにくるまって…
メソメソグズグズと泣いているうちに眠ってしまったようで…
携帯が知らせる時刻は、もうすぐ20時になろうとしていた。
和「…どんだけ寝てんのよ」
寂しいとか言いながら…
大野さんの匂いを嗅いだらこんだけ眠れるんだから…
本当に俺はチョロい奴だ。
和「…てか携帯どこいった?」
真っ暗な部屋で鳴らない携帯を、手探りで探す。
そんな時不意に足元が光った。
和「……大野さん!」
手に取った携帯のロック画面。
そこには大野さんからのLINEの通知。
俺は慌ててロックを解除しようとした。
和「…ってFace ID開かないじゃん!」
暗闇のせいか。
無常にも認識できません…と暗証番号入力の画面に阻まれる。
慌てて暗証番号を押すと
「番号が違います」
なんて跳ね返される。
ウソだ!間違えてねーしっ!
大野さんの誕生日と俺の誕生日。
大野さんの日にちの最後の6と…
俺の月の6が重なった、112617。
絶対絶対間違えない暗証番号。
俺は慌ててもう一度、暗証番号を入力した。
すると、呑気に、それはもうゆっくりと…
LINEの画面が写し出された。
和「…え?」
そこには、写真。
時計の、写真。
デジタル時計が23時59分を指している。
しかも日付は…
和「…6月17日…」
そのあとにきたLINE。
そこには…
『世界最遅ってのは、こういうこと言うんだよ』
と、書いてあった。