大宮BL小説です。
閲覧ご注意ください。




3  





やばい…


この目はやばいんだって…




どうしようもなく、惹かれる視線。

どうしても、抗えない視線。



俺は慌てて目を逸らし、胸に沈んだ。



和「そんな…」
「とれったってさ…」



ごにょごにょと…
硬い胸板に文句を投げる。



和「簡単に言ってくれるけどさ…」



そんな俺の背中をなぞる指。

道が決まってるみたいに手慣れた様子で背中を滑っていく…
いつもの指が心地良い。



てかこんな…
決定事項みたいな言われ方に、俺はめっぽう弱い。

それを知っててこの人は言ってるんだから。

人畜無害みたいな顔してるけどさ…
意外と策士なんだよな…



和「そもそも…」

「期間はどんくらい?」



智「そうだな…」



ちゅ、と…
俺のつむじを啄ばむ。

俺は首をすくめながら、大野さんの言葉を待った。



智「…よくわかんねぇけど…」


「…一週間くらい?」



予想よりはるかに長い時間に…

思わず素っ頓狂な声を上げた。



和「い、一週間?!」

「長すぎだし!」


和「一日二日ならまだしも…」

「一週間も休んだら…」
「仕事なくなっちゃうよ!」



智「…なくなんねーだろ」
「そんくらい休んだところで」

「そんないい加減な仕事、してねーだろ?」



まぁ…

それはさ?
そうなんだけどさ…


グッと言葉を飲み込んだ俺の、顎の黒子に手を伸ばして…


大野さんは囁いた。



智「なぁ」

「行きてーとこ、あっからさ、おまえと…」



黒子をなぞる、指。

何度も所在を確かめるみたいに、ゆっくり、ゆっくりと…。



智「休み、とれよ…」



その言葉を…
黒子に刻むように。


大野さんは唇を寄せた。



ちゅ…と優しい音が何度も響く。


まるで「これは俺の」と、印をつけるみたいに。